伊織の決心
見えない力で弾き飛ばされた自分。
前回、体に入られたお
――情けない。
でも情けないままでいいのかと自分を奮い立たせようとする。でもどうしたらいいのかわからない。今まで相対してきたモノ達は、自分がいるだけで無力になったり消えて行ったりしていた。今回目の前に現れたモノは違う。少しだけ力が弱まってるみたいだけど、今の自分とは力の差が違う。それははっきりとわかっている。
何より今回違ったことが一つだけある。足がすくんで動けなくなった事。
隣にいるお義兄ちゃんを手助けできなかったこと。
それが悔しい。情けない。
あの人はまた立ち向かって行くんだろう。その時自分はそのそばに立てているのか……
考えれば考えるほど眠れなくなった伊織は、水を飲もうと降りてきた居間でまた考え込んでいた――
コトッ
ビクッ
突然目の前に出されたコップに驚き体が震えた。
「ああ、ごめん驚いたか?」
上げた顔の前には優しく微笑むお義兄にいちゃんをの姿があった。
「あ、お義兄ちゃん……」
「どうした? 眠れないのか?」
「うん……」
お義兄ちゃんには今考えてる事は言えない。そんなことした知られてしまうから。
だから困ってまた下を向いちゃった。
――こういう時、お義兄ちゃんはどうするの? どう考えてるの?
そんな考えが頭に浮かんできて、無意識にクチにしちゃってた。
「お義兄ちゃん……は、いつからそんなに強いの?」
「俺が……強い?」
――あれ、私何か知らない間に口から言ってる。お義兄ちゃんも困ってる顔してるし。でも、なぜかクチが止まってくれない。
「うん。小さい時からそう……。どんな相手にもどんな時も立ち向かっていける」
「う~ん……」
――あぁぁぁぁぁ!!何をいってるのわたしぃぃぃぃぃ!!
お義兄ちゃんが真剣になって悩んじゃってる。こんな私の考えなしの質問なのに。お義兄ちゃんは小さい時からそうだったけどね。
小さい時のお義兄ちゃんは、ほんと私の事が嫌いなんじゃないかって思うくらい、ぜんっっっっっぜん! 話もしてくれなくて、でもそばにいる私を邪魔者みたいに扱うわけでもなく、逆に何かあるとすぐにかばってくれたり。
弱いんだけど。
クスッ
思い出すだけで笑顔になっちゃう。
「そんなこと……考えたこともなかったな。今気づいたよ。そうか俺はもともとは強かったのか……」
「え?」
顔を上げて見えたお義兄ちゃんは微笑んでた。
「伊織がそう見えてたのは意外だったけど、俺は俺が思った通りに行動してるだけだよ」
「ッ!!」
――はい、今の私の胸に[ズキューン!!]ってきました。その顔でその言葉は反則ですよお兄ちゃん!!
もう!! やっぱり変わってないんだね。少し安心した。お義兄ちゃんは小さい時からはお義兄ちゃんはのまま、心の強さはやっぱりかなわないよ。
「お義兄ちゃんはやっぱりすごく強いし、すごく優しい。だから大好き……」
――はっ!! 何か口走っちゃったような気がするけど、聞こえてないよねお兄ちゃん!!
「あ、ありがとうお義兄にいちゃん。私も強くなれるように頑張るから」
――ううぅ~早くこの場所から逃げなきゃ!!
よし!! お水飲んで戻ろ!!
水をゴクゴク飲み干して、自分の部屋へと駆けていく。
バタン
自分の部屋のドアを閉めてベッドに思い切り飛び込んだ。
枕もとの熊さんのぬいぐるみを抱きしめながら(正確には首を絞めてたけど)声にならない声をだした。
落ち着いてきた心が私に言ってる。
「優しさがあるから強さがある。あなたの
なら私は?
どうすればいい?
私は誓ったの。お義兄ちゃんを助けるって。でもそれが間違いだった。助けるんじゃい、助け合うんだと気づいた。
「よぉし!!」
私は決心した。
――義兄ちゃんにこの秘密を話す。そしてともに歩いていくんだ!!
そうして、この日は熊さんを抱きながら伊織は眠りについた――
※作者の後書きみたいな落書き※
この物語はフィクションです。
登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。
誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。
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