アイドルグループ
「なぁ伊織、セカンドストリートって……何かしってるか?」
「え? なに? お
ちょっと、情報が欲しいから知ってるならば教えてもらおうかと思っただけだったが、意外と食い気味に上体を俺の方に寄せてきた。対面に座っている伊織の顔が今は目の前にある。
――う~ん、ちかいよね。かわいいけど。
俺が照れるよ。
「え? なに? 有名なのか?」
「お義兄ちゃんテレビとか音楽とかきょうみないからねぇ……。部屋もなんかなんもないし……」
――あれ? 伊織さん、お義兄ちゃんの部屋に入ったことあるみたいな言い方だけどいつの間に入ったのかな?
最近か? なら危なかったな……。って今はそれはいいとして
「で、セカンドストリートってなに?」
焦る内心を表に出さないようにゴハンをモグモグ……
「あ、うん。セカンドストリートっていうのは、今、わたしたちくらいの歳のコの間でめちゃくちゃ流行ってる女の子のアイドルグループだよ。あ、待ってて、私CD持ってるから」
伊織が二階へ駆け上がって行く。
今更だけど、伊織は二階に、俺は一階に部屋がある。再婚した親父増える家族のためにもともとあった荷物部屋を改築したのだ。
戻ってきた伊織の手には数枚のCDが大事にぎられていて。「はい、聞いてみて!」って渡されたが。もちろん俺にはそんなものに興味があったわけではない。
伊織はキッチンまで食器を運び洗い物をはじめた。
まいったな、と渡されたCDを一枚ずつ見ているとあることに気づいた。確認するように裏返してみると――
部屋に戻るとカレンがベッドに腰を下ろすような姿勢で浮いていた。
黙ったまま俺は椅子まで進みそこに腰を下ろした。
そのまま少し時間が過ぎる。
「で? これからどうする?」
『え? あ、うん、もちろん、体をさがす!!』
「わかった。なら明日から動こう。今日はもう少し考えを教えてくれ」
言いながら俺は、勉強机の上にある[何もない]部屋にある唯一の電子機器のノートパソコンの電源を入れる。
先程のキーワードを検索するために。
『聞いたんでしょ?』
「え? 何が?」
振り向いた俺の横に、顔を近づけるように腰を曲げて覗き込むようにカレンが浮いていた。
――先程の件もあってか、近いカレンの顔にドキッとする。やっぱりこのコもかわいいんだよねぇ。
なんて考える。
と、起動中だったパソコンが立ち上がったので向き直り、先ほどのキーワードを検索にかかる。
『だから、セカンドストリートのことよ』
「ああ、まあな……」
カチッカチッとマウスを移動させながらそっけなく返す。
『気づいてないわけないわよね? 私がそのセカンドストリートのカレンだって事』
「ああ、まあな……」
カチッカチッ
『ちょっ!! 聞いてるの!? 私がカレンなのよ?』
「おわっ!!」
にゅ!! っと机からカレンが顔を出す
「なにすんだよ!! ビックリするだろが!!」
『だって、シンジ君がちゃんと聞いてくれてないんだもん!!』
「だからっていきなり出てくるなよ!!」
『アイドルの私の顔をタダで近くで見られるんだから光栄に思いなさいよ!!』
フンって感じで顔をそらすカレン
――さすがアイドル怒った顔もかわいいすネ。
でもね……
「誰だ? それは? 俺が知ってて今、目の前にいる知り合いは[日比野カレン]だ。セカンドストリートの[カレン]なんて女の子じゃないからなぁ」
カチッカチッとマウスを使いながらパソコン画面に出ている情報を一つ一つ確認していく。
カレンからは何も言葉は返ってくることなくそのまま時間が過ぎていく。
――あれ? 怒ったのかな?
内心ドキドキしながらベッドに視線を向けると、カレンは大人しく座るような恰好で浮いていた。
俯いたまま……
しかたないのでそのまま、またパソコンに視線を戻して暫らくした頃、小さな声がベッドから発せされた。
『ありがとうシンジ君』
「な、なんだよ急に」
ベッド視線を向ける。
『シンジ君はあたしと話をしてくれてたんだ』
「どういう意味だ?」
『そういうことでしょ? アイドルのカレンじゃなくて今日会って話をしてる日比野カレンが私っだって』
「ま、まあなぁ……って言っても、驚いてないわけじゃないぜ? 妹からも少し話は聞いたし、人気なんだろ? お前ら。でもな、俺の前で困ってたのは[幽霊]だった[日比野カレン]、君だ。けっしてアイドルのカレンじゃなかった。ただそれだけだよ」
『やっぱり、あなたでよかった……」
そう言ってカレンはまた下を向いた。こういうときってどうすればいいのかよくわかんないな。
ま、まぁカレンが怒ったりしてなくてよかった。
少し部屋も暖かくなった気がするし。
――と、とりあえず風呂にでも入ってくるかな? うんそうしよう。
「えと、カレン話は風呂入ってからでもいいかな?」
『え、ええ、別に構わないわよ?』
またカレンが下を向いた。けど、なんかさっきとは雰囲気が違うな。
「じゃぁ、悪いけど」
『はい……どうぞ』
タンスを開けて着替えを手に持ち風呂場へと向かう。
少しカレンが恥ずかしそうにしてたのはきのせいか……
廊下を歩いて脱衣所に着いて上着を脱ごうとした時あることに気付いた。
真横にふわふわと浮いているモノがいることに
「カレン」
『なに?』
「なんで君がここにいるの?」
『なぜって、私はあなたに
「…………」
なんですとぉおおおおおおおお!!
あの時、確かにカレンは言った。
※作者の後書きみたいな落書き※
この物語はフィクションです。
登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。
誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。
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