第16話 時代

「時代」


時は過ぎ、季節は移ろい、

人の心にさざ波を立てる


《あの頃とは違うのだよ》


そう諭す心の言葉が

グサリと胸に刺さる


美しい瞬間だけを切り取り

毎日を生きながらえてきた

始まりが十年前だとしたら

もう既に時代は様変わりし、

言葉は重く、響かなくなる


動きをなくした石ころは

踏まれてもまれて蹴散らされ

やがては粉々になってしまう


一瞬の輝きを今こそ発し、

もう一度、生の証を得たい


路上に立ち止まり、小雨降る空を見上げた

哀しい灰色を打ち消す虹すら架からず

はらりはらりと涙を落とす空が不憫で

僕はちっぽけな石ころを蹴飛ばした


瞼に涙を浮かべながら……

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