第15話 出帆

「出帆」


あの大海原に対峙する

広げたマストがはためいて、

長く居座った陸地と衝突を繰り返す


先を急ぐ必要はない

漕ぎ出す勇気と立ち止まる知性

決め手などない、心が臆病なだけ


この両手で拾ったはずのひとひらの未来が

指の隙間からポロポロと落ちてしまうよう

得ることと失うことは紙一重だから

その選択を責める理由は誰にも何処にもない


見上げればマストがはためく

舟は進むのか、留まるのか

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