第22話 生徒会

「「「「「…………………」」」」」


 宇治姉の一言で図書室にいた全員が黙りこくってしまった。

 ……いや、黙るのも当たり前だろ?いきなり『お前生徒会に入れるから』何て言われたって唖然とするわ!


「……それは本気で言っているのか?」


 一番最初に切り出したのは見知らぬ小柄な少女だった。


「ああ、それに生徒会長の許可は取っているぞ?」


「あの人はまた勝手に」


 宇治姉の言葉を聞くと少女は呆れたような表情をしてこめかみを押さえた。


「む、そう言えば彼女の紹介がまだだったな。」


 と、宇治姉が言った瞬間少女が宇治姉の前に出て止めた。


「待って欲しい。自分の自己紹介ぐらいは自分でする。私は……生徒会、書記二年の矢代紀香だ。」


 ん、ちょっと待ってくれ?確かにうちの制服を着ているけど……その身長で二年生!?


「……さて、私の自己紹介はこれくらいにして一つ言わせてもらうぞ。」


「な、なんですか?」


「私は君達が生徒会に入ることを……歓迎しない。特に萩本くんと言ったか、君に関しては生徒会に入らない方がいい。」


 矢代は俺達を嫌っているような表情や声音ではなかった。

 いや、もっと言えば心配をしているような声音だった。


「あら、萩本くん?生徒会に何かしたの?嫌われているようだけど。」


「……お前少しは空気を読むって言葉知った方がいいぞ?このタイミングで言うことじゃないよね?」


「あら、空気が読めないのはあなたでしょ?だって、私は友人がいるけれど貴方は……いないでしょ?」


 おい、ちょっと待て!何で一瞬悲しそうな者を見るような眼差しでこっちを見たんだ。

 しかも、自分は友人いますよってわざわざ言うやつほど友人がいないんだよ!


「ちょっと二人とも!タイミング、タイミング!」


「そ、そうだよ。萩本くんも青森さんも時と場合を考えないと。」


 岬さんと西浦が俺達の間に割り込みなだめてきた。

 いや、西浦も岬さんも考えてみてくれ。俺悪くないよね?


「と、言うか。矢代さんでしたっけ?岬さんはともかく俺は生徒会に入らないので安心してくれていいですよ?」


「………そうか、なら良かった。もし君が生徒会に入ろうものなら君はきっと生徒会長に壊されていただろう。」


「え、壊されるってどう言うことですか?」


 岬さんが心配そうに矢代の言葉に反応した。


「………あの人は自分の気に入ったものを愛でては壊すんだ。それが例え家族であってもな。」


 ……生徒会長怖すぎじゃね?何壊すって、しかも家族であってもって。


「だから君が入らなくて良かった。君はもう、生徒会長に気に入られかけているから。」


 その時突然俺のポケットに入っているスマホからラインが来たことを知らせる音がなった。


「あ、ちょっと待ってください。妹からラインが来たので。」


 話を切ってスマホを取ろうとポケットにてを入れた瞬間、青森と岬さん、西浦の声が揃ってこういった。


「「「ちょっと待って、何で見てもいないのに妹ってわかったの?」」」


「お前ら仲いいな。後わかった理由は単に妹以外とラインをしたことがないし、そもそも妹以外のラインを知らない。」


「「「「「……………」」」」」


 あっれれ?何で皆黙ったのかな。俺がおかしい訳じゃないよね?


「萩本くん、私のライン教えるね。」


「僕も教えるよ。」


 おい、やめろ!そんな悲しい人を見るような目でこっちを見るな!俺が悲しい人見たいだろ!


「いらんわ!ちょっとこっち見ないでくれます!妹からのラインを見て癒されるんで。」


 その時またスマホがラインが来たことを知らせる音が流れた。


 💬『お兄ちゃん、キモいぞ!(*^ー^)ノ♪』


 いや、待て!何で俺の話してる内容をわかってる見たいなラインが二回目で来るの?


 💬『後、生徒会に入ってね★じゃないと一生病室に入れないようにするからね!』


「矢代先輩でしたっけ!?俺生徒会に入ります!」


「……宇治村先生、こいつはバカ野郎か?」


「……うむ。ただのシスコンを拗らせた変態だ。」


 その言葉に俺以外の全員が頷いた。

 いや、頷いたじゃねぇよ!?俺はシスコンじゃないし拗らせてもない!


「とにかく俺は生徒会に入ります!」


「………はぁ、好きにしろ。私は止めたからな。」


 よし、これで妹に会いに行ける!


 💬『お兄ちゃんやっぱり会いに来ないでね。キモいから!』


「あ、萩本くんが倒れた。」

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