第19話 女と男の違いとは?
世間は狭いとはよく言ったものだ。
昨日会った人物と全く違う場所で会うなんてことが起きるのだから世間は本当に狭いのだろう。
「「……………」」
本当に何でこんな場所にこいつがいるんだ?
「……何であんたがいるのよ?まさかストーカー?」
目の前にいる身長の小さい金髪少女が突然そんなことを呟いてくる。
いや、あえて言おう。
「………チビッ子こそ何でこんなところにいるんだよ。」
そう、目の前にいるのは昨日西浦の家で会い、コンビニにでも会った人物……西浦の姉、里美さんである。
「殺すぞ?」
「……ごめんなさい。」
会って早々何で謝んなきゃいけないんだよ?確かにチビッ子て言いましたけど、でも本当のことだし~俺悪くないと思うんですよね。
「で?何であんたが東京駅にいるんだよ。しかもお昼のこんなこんでる時間に?」
「あんたに説明する必要無いと思うんですけど。」
「………早く理由を言わないと痴漢て叫ぶよ?」
酷くない?何それ、男には使えない特権振りかざして命令するとかずるくない!?
「………妹に会いに来たんだよ。」
「妹?何でこんな離れた東京の病院になんかに。」
「少し厄介な病気何だよ。じゃなきゃわざわざこんな東京の病院になんかに入院させねぇよ。」
納得したように西浦の姉が頷いた。
「と、言うか。お前ばっかり質問すんなよ。俺の質問にも答えろ。何でここにお前がいるんだよ?」
「…………えっと。」
西浦姉は少し苦い顔をして口をつぐんでしまった。
「………なぁ、一つだけ頼みがあるんだけど?」
「まずは俺の質問にも答えろよ。」
「か、必ず答えるから、だからさ………お前の妹に会わせてくれないか?」
は?今なんて言った?妹に会わせてくれないかって言ったのか?そんなの………。
「嫌に決まってんだろ!」
……………………………………………………
「お兄ちゃんは私が後で懲らしめとくのでご安心を!」
あの後突然妹から電話がかかってきて西浦姉の話をしたら連れてこいと言われました。
俺は妹との時間を取られたくないだけなのに!
「それで!私に何か話したかったんですよね!」
「え、あ、う、うん。」
若干妹の勢いに負けて西浦姉が少しひいている。
「………俺外に出てるわ。邪魔になりそうだし。」
「うん!お兄ちゃんは邪魔だから、出てって!」
うん!何て悲しい言葉なんだろう。妹とよ、お兄ちゃんの心を気遣ってくれ!頼むから!
「え!?あ、ちょっと待て!私だけにするな!」
何か西浦姉が騒いでいた気がしたが俺は無視して病室から出ていった。
お前が悪いんだからな。俺と妹の時間を奪ったんだからちょっとした嫌がらせだ。
「……下の売店にでもいるかな。」
「あれ~!?萩本君じゃない!」
階段を降りていると後ろから肩を叩き話しかけてくる人がいた。
この声、俺に話しかけてくる人物………田島さんか。
「……………」
「も~反応悪くない!もうちょっと喜んでよ!こんな美人と一緒にいられるんだから!」
「……自分で言わないでくださいよ。」
まぁ、確かに美人ではあるんだけどさ……でも普通自分で言わないと思うんですけど。
「もしかして凛ちゃんに追い出されたの?」
「自分で出てきたんですよ。」
「あ!もしかしてさっきの金髪の子がいたから出てきたの?」
何でこう、女の人は男の心をよむのが上手いんだろうか。いや、男の心がよみやすいだけか?
「そうだ!これからお昼だから一緒に食べようよ!どうせこれから売店にいくんでしょ?」
「まぁそうですけど。」
「なら、ホラホラ!行くよ!」
ちょ、やめて!階段で押さないで!落ちるから!マジで落ちるから!
田島さんは俺の背中を押してその前無理やり売店の方に押していった。
「で?何であの金髪の子を連れてきたの?」
売店のわきにある休憩スペースで俺と田島さんは椅子に座りお互いに売店で買った弁当を食べていた。
「……プライバシーがあるので、あまり言えないですよ。」
「ふぅーん、私に隠し事しようとするんだ。そっか、なら、仕方ないね。凛ちゃんに報告しなきゃ。」
「何をですか?」
田島さんニヤニヤし始めポケットからケータイを取り出すと画面を操作して画像をこちらに見せてきた。
「ん!??な、何でこれが!!?」
「ふふ、とある情報者から仕入れたんですよ!」
俺の情報は裏社会か何かで取引でもされてるんですかね?
そもそもその写真は青森が持っていたやつと一緒だし、それにそれは確か俺のスマホのアルバムに入っていたやつだし!
「………何でも言うのでそれだけは!それだけはどうか消してください!」
ここはへりくだってしまった方が良い。下手に妹に見られて何か言われたり、挙げ句の果てに西浦姉に見られたらいろんな意味で終わる。
「じゃあ最初はね…………………」
それから田島さんに西浦の件やそれのせいで青森と険悪なムードになったこと、西浦姉の状況等様々な事を根掘り葉掘り聞かれた。
「そっか、それは大変だったね。西浦て子も、あのお姉ちゃんもさ。」
田島さんは買ったコーヒーを口にふくみそれを飲み込んでから話を続けた。
「ねぇ、萩本君?さっきの話から少しずれるけどさ、萩本君は男女の相談された時の対応の違いってわかる?」
突然田島さんは訳のわからない質問をしてきた。
男女の相談された時の対応の違い?そんなものあるのか?
「……正直わからないですよ。」
「はぁ、それじゃモテないぞ!」
ホッとけよな。俺がモテないのと男女の対応の違いの何が関わってくるってんだよ。
「今回は特別に年上の美人お姉さんが教えてあげます!ちゃんと聞くんだよ?」
「ワァ、スゴい。ビジンのオネエサンは、ヤッパリ、タヨリニナルな。」
「……何で所々棒読みなのよ。はぁ、まぁいいから聞きなさいよ。」
いや、話を脱線させたの田島さんですよね?俺悪くないと思うんですよね。
「まずね、男女の相談された時の対応の違いは根本的に違うんだよ。」
「根本的にですか?」
「そう、男性は場合は相談されたらその相談内容を解決するような解答をするの。けどね……女性の場合はどうすると思う?」
女性の場合?俺は正直男性と同じだと思うんですけど。
だって相談されたなら解決するように努力するのが普通なのでは?
「ふふ、萩本君はきっと解決するような解答を出すのが当たり前だと思ってるでしょ?」
「ええ、まぁ。相談されたのならそれ相当の努力をするべきだと思いますけど……。」
うん、うん田島さんは大きく頷いた。
「そうだね。相談されたのなら解決するようにもしくはヒントを与えるべきだよね。うん、とっても男性らしい意見だと思うよ。」
「……男性らしい意見ですか。」
「そう、萩本君のは男性らしい意見なんだよ。そう、それが根本的に相談された時の男女の対応の違いだよ。」
男性らしい意見……つまり、男性は解決こと、解答を示すことを重視していると言うこと。
なら、それなら、女性はどうなんだろうか。
「女性はね、強いんだよ。多分男性の人よりもね。」
田島さんの表情は段々と先程の笑顔ではなく、普段は決して見せない真剣な表情になっていた。
「だからこそ、答えがほしいんじゃない、解決してほしい訳でもない、ただ、言葉が欲しいだけなんだよ。」
「……言葉ですか?」
「うん、女性はね、大抵の悩みや相談事は話す前から解決法方を知ってるんだよ。でもね、それでも頼る理由は……」
女性が相談する理由は……それはきっと。
「安心したいからですか?」
「うん、そうだよ。自分の答えがあってるって、自分は間違ってないってそう、相手に認めて欲しいだけなんだよ、きっとね。」
……それはきっと田島さんが思ったことだ。全ての女性に当てはまることではない。
けれど、それでもきっとこの世界の誰かはきっと田島さんと同じなんだろう。
「て、言うとこは話を戻すけど、金髪の子はきっと誰かに自分の事を話したかっただけなんだと思うよ。」
「そうなんですかね?」
「そこから先は自分で聞くことだよ!と、私はそろそろ戻らなくちゃ!」
そう言って田島はお弁当のゴミを片付けて、自分の荷物も持つと一度此方に振り向いて一言だけ付け足した。
「それとね、萩本君。女の子の話は結構長いからね!」
最後にそう言うと田島さんは売店を出ていった。
じゃあ、それなら、西浦姉は何にたいして悩んだいたのだろうか。俺の妹に会うまでして何を相談したからったのか。何に対して安心したかったのか。
そんな疑問だけが酷く俺の中に残った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます