第18話 俺は否定しない。……何を?みなまで聞くな
「ちょ、ちょっと待って!」
「は、は、は!!あまい、甘いんだよ!」
「あ、あァァァァァァァァァァァ!」
岬さんがテレビの画面を見ながら叫び、コントローラーを投げ捨てた。
いや、自分のものじゃないんだから投げるなよ。
「いや~勝った勝った。流石に勝つのは楽しいな!」
「う~!萩本君!一緒にやろ!」
「……お前選ぶ相手間違ってね?」
確かにと西浦の姉は頷いた。それはもう一生懸命に、何かを訴えるように。
「だって!萩本君に勝てば里美さんに勝ったのと同じじゃない!」
「………里美って誰?」
俺は首をかしげてリビングにいる全員の顔を見た。
その時岬さんと青森は呆れたようにため息をつき、西浦と西浦姉は苦笑いを浮かべていた。
「やっぱり萩本君は先祖が鶏か何かなのかしら?」
「いや、何でだよ。ただわからないから聞いただけだろ。」
人間、疑問を持つことは大切だと思う!だって疑問を持たなければ人間の文化や科学なんてものが発展するわけないのだから!
「そうね。私が悪かったわ……鶏さんに謝るわね。」
俺に謝れよ!何、俺よりも鶏の方が上なんですか?それとも貴女は養鶏場の人なんですかね?
「………萩本君、さっき自己紹介したじゃん。」
「自己紹介?」
え?そんなのやりましたっけ?俺さっきまでトイレにいたんだけど。
「……ホントに忘れたの?」
「あ、あ~もしかして岬さん。俺がトイレにいってる間に自己紹介したんじゃね?」
「…………あ」
岬さんは忘れてた見たいな表情をして顔をそらした。
……やっぱり俺のせいじゃないじゃんか。それに昼飯の時といい、今回の件といい、岬さんはアレかな。アホの子なのかな?
「ふふ、萩本君よかったじゃない。貴方のアイデンティティが見つかったわよ。人の記憶から忘れられるって言うアイデンティティが。」
何その特殊能力見たいなカッコいいアイデンティティ。
と言うか。何、ナチュラルに記憶から忘れられるって言ってんの?そもそも青森、お前は笑ってんじゃねぇよ!
「お前絶対気づいてたよな。」
「あら、勘違いはよくないわよ?まぁ、その場にいなかったことはわかっていたのだけど。」
「お前気づいてんじゃねぇかよ!しかも気づいて尚且つ俺を無視して自己紹介続けさせたなんていい度胸してんじゃねぇか!」
まぁ、まぁ、まぁと言いながら岬さんが俺の前に出て落ち着かせようとする。
そもそもあんたのせいだからね、こうなったの。
「あ、改めて自己紹介しよっか!ね!じゃあ早速私からするね。私の名前は岬玲奈だよ!」
「私は青森聖奈と言います。」
何気に岬さんの下の名前を知ったのってはじめてじゃね?
「僕の名前は西浦二鷹」
「私は西浦里美だ!」
………西浦姉が里美さんて名前だったのか。それにしても西浦姉が胸を張ると…うん、やっぱり最高です。
「………岬さん何か悪寒がしたわ。今すぐに警察に電話して萩本君を捕まえてもらって!」
「おい、ちょっと待て!何でそうなるんだよ!」
「………はぁ、とっとと自己紹介しろよ。」
西浦姉いや、里美さんがもう見飽きたと言いたげな表情で俺を指差してきた。
「………萩本伸也だ。」
「何で声が小さくなるのよ。」
初めてなんだよ!こんな少人数の中で自己紹介するのが!そもそも、学校で皆の前で立って自己紹介したときぐらいしか自己紹介とかしないじゃん!
「……………お前やっぱり友達いないんだな。」
「おい!何でその結論に至ったのか聞かせろ!西浦姉!」
西浦姉はニコッと笑いながら此方を見つめてきた。
「だってお前、今時の高校生が64なんてやりこんでる何てあり得ないだろ?つまり、簡単に言うとお前、学校以外家に引き込もってずっとゲームやってただろ。」
「………ま、間違ってないから何も言えない。」
「萩本君……」
やめて!岬さん、そんな悲しい人を見るような瞳でこっちを見ないで!後青森は頷いてんじゃねぇかよ!お前も俺と同じで友達いない組だろ!
「と、萩本君達は時間大丈夫?」
西浦が指差した時計は十八時を回っていた。
「………あ、そろそろ私帰らなきゃ!今日お父さん達が早めに帰ってくるんだった!」
「俺も帰るかな。飯作んなきゃだし。」
「私もおいとまするわね」
そう言って俺たちは鞄を持ち玄関の方に歩いていった。
「じゃ!西浦君また、学校でね!」
「う、うん。またね。」
元気よく岬さんが挨拶をして若干引き気味に挨拶を西浦が返した。
「それじゃ、まぁ、俺達も帰るや。」
「また、学校で会いましょう。」
俺と青森も挨拶をして玄関から出た。
西浦は手を振りながら「またね」と言って見送ってくれた。
「……じゃあ俺はここで」
「うん、また来週ね!」
「警察にお世話にならないように気をつけて帰りなさい。」
……もう絶対つっこまないよ。何言われても俺は反応しない。オレ、ココロツヨイ。
岬さんと青森と別れて帰っていた……筈だったのだが。
「何でこうなるんだよ。」
「まぁ、まぁそんなこと言わないでよ!」
現在、西浦の家から歩いて二分のコンビニにて秋原さんとレジの前にたっている。
何故か?そんなの決まってるだろ!コンビニの前を通ってたらいきなり店長が走ってきて……。
「は・ぎ・も・と・君!!!!!!!」
何であのときに止まってしまったんだろう。全速力で逃げればよかった。
「萩本君丁度よかった!ちょっとの間だけレジお願いしたいんだけど!」
「な、何でですか?」
「じ、実はね!今日予約開始だったんだよ!前から欲しかったフィギュアが!」
………何でだよ。あんたもう年寄りだろ?なのに何でそんなにフィギュア一つで暑くなってるんだよ。
ま、俺もその前おしきられてレジやってるんだから何も言えないよな。
「………萩本君、そう言えば何で店の前を歩いてたの?」
「………友達の家に行ってたんですよ。」
「で、どこ行ってたの?」
この人、聞かなかったことにしやがった!?そんなに信じられないんですかね!?俺に友達がいることが!?
「…………知り合いの家に行ってたんですよ。」
「あ、そうなんだ!全く友達何て言葉が萩本君の口から聞こえたから驚いちゃったよ!」
はは、と笑い秋原が肩を叩いてくる。
「………はぁ、何で俺が働かなきゃいけないんだよ。しかも、こんな人の心の傷を抉ってくるような最低な屑と一緒に。」
「ね、聞こえてるよ!?聞こえてるからね!酷くない!歳上なのに!」
秋原さんが隣で何かを叫んでいるときに一人のお客さんが入ってきた。
「いらっしゃいませ!」
「……な、何であんたが!」
いきなり入ってきたお客さんがそんな事を言うので、そちらの方を見るとそこには。
「……西浦姉か。」
「…………あんた働いてたんだ。」
ん?可笑しいよね?何で働いてることに驚いてるの?普通はこのコンビニで働いてることに驚くよね?働いてることにじゃなくて。
「俺だって働くわ。」
「私はてっきり専業主夫になるとか、一生親のすねかじって生きていくとか言うかと思ってた。」
お前真顔でいってるけどそれ、スッゴい失礼だからね?マジでオレの心にハートブレイクショット打ってきてるからね?
「……さっさと何か買って帰れよ。」
「それ、店員が言っちゃダメだろ。」
お前が失礼なことを言ったせいだろ!?
そもそも、何も言わずに何か買って変えればよかったじゃねぇかよ!
「…………じゃあ、これで。」
そう言って取ってきた物はコーラとポテトチップスだった。
「ジャンクフード」
「……黙ってレジうてよ。私が何か買おうと勝手だろうが。」
ソウデスネ。太るなんて言っちゃダメですよね。
「………………」
「……急に無言になるなよ。」
「368円になります。千円お預かりいたします。お後、632円のお返しになります。ありがとうございました!」
俺は西浦姉を無視して帰らせるように手を出口の方に向けた。
「……お前絶対接客業向いてないだろ。」
「ありがとうございました!」
「………………」
無言のまま西浦姉はコンビニから出ていった。
ふぅ、帰って行ったな!これでオレの心も安泰だ!
「………おい、萩本アレはどう言うことだ。」
「………何で急に真顔で呼び捨てになるんですか。」
「あの金髪美少女巨乳とは何処で知り合ったんだ!しかとアレはこの前言ったアニメ声の少女じゃないか!」
叫びながら俺の肩をつかみグラグラ俺を揺らしてくる。
後、あんた言ってること気持ち悪いから……巨乳は確かにあってるけど。
「うるさい、キモい、触れるな汚れる。」
「酷い!年下にいじめられる!」
ホントにうるさいな……早く帰ってこないかな店長。
その後三十分くらいしてから店長が帰って来て店長にも質問ぜめに合ったため帰りが二十時を過ぎていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます