第14話 人間関係は泡のように消える
「なぁ、今から質問することなんだけど、放課後でもいいか?」
「別に構わないけど。」
「なら、放課後で」
俺はそれだけ言うと会話を切って机に突っ伏す体制になり周りの雑音を遮断した。ホームルームが始まるまで突っ伏したの体制でまった。
「あ~ダルい。」
宇治姉が教室に入ってくると同時に体制を整えて前を向く。その前ホームルームは終わり授業に入っていった。
……………………………………………………
「で、何でお前らが俺の後をつけてくるんだ?」
「い、いや~なんと言うかですね。やっぱり二人が喧嘩した状態って嫌だな~と。」
「……………喧嘩なんてしてないだろ?」
そもそも、喧嘩するまでの中になった覚えないしな。喧嘩って言うのは仲間内でやるもんだろ?なら、俺と青森は仲間内でもなければ友達でもない。
「そうね。確かに萩本君の言うとおりよ。私たちはそもそも、喧嘩するまでの仲になってないもの。」
どうやら、青森も同じ意見らしい。なら、この話はこれで終わりだろ。
「もう、ついてくんなよ?」
そう言って俺は振り返り岬さん達から離れようと歩き出した。
「ちょっと待ってよ!!!それっておかしいでしょ?」
突然、岬さんが大きな声で怒鳴り付けてきた。それに驚き俺はもう一度岬さん達の方を見た。
「何でそうなるの?また、二人で協力すればいいじゃん?私の時みたいにさ!それなのに何で二人で喧嘩してるの?」
「あの時は目的が同じだったからだ。それ以上でもそれ以下でもない。」
「じゃあ、今回の西浦君の件には関わらないの?」
俺は真っ直ぐ岬さんの目を見て頷いた。今回に関しては西浦本人の問題だ。岬さんの件とは違い、問題も起きてなければ、犯人もいない。
「………そう、わかった。なら、今回の西浦君の件は私たちでどうにかする。」
岬さんはそう告げて青森の手を握り俺とは反対方向に歩いていった。
「…………岬さん、お節介も行きすぎればただのエゴでしかないんだよ。」
俺はいつも道理の屋上に向かい歩き出す。何故だか、その一歩がとても重くて屋上についた後、少しの罪悪感と寂しさを抱えていた。
……………………………………………………
「で?聞きたいことって何?」
あれから、放課後まで俺はいつものように過ごして屋上に至る。
「………………」
「ん、と?聞きたいことがあるんだよね?」
ある、確かにあるのだか………岬さんにああ言ってしまった以上あまり関わらない方がいいのかわからなくなっている。
「ああ、すまん、ちょっとだけ待ってくれ。」
…………俺はどうしたいんだ?確かに最初は西浦に手を貸すつもりだった。けれど、今は……今は岬さんに言ってしまったことを気にしている。
「………ねぇ、萩本君?もしかしてさ、萩本君は僕を助けようとしてるの?」
「……は?」
「だったら言っとくね。僕は困ってもいないし、助けを必要ともしていない。」
じゃあ……何であんなこと言ったんだ?俺と青森と岬さんの関係が羨ましいなんて。
「…………本当にそうなのか?」
「うん、本当だよ。」
「そっか、なら……」
なら、俺はどうする。ここで西浦の件に関わるのはやめるか?岬さん達に任せるのか?そもそも、助ける理由も大義もない。
「じゃあ、私達が聞いてもいいかしら?」
「「え!」」
後ろを振り向くとそこには岬さんと青森が立っていた。
「………やっぱり萩本君は関わるんだね。」
「岬さんか……。」
何となくだが岬さん達がいることはわかっていた。多分、青森が岬さんに知らせたのだろう。
「二人は何しに来たんだ?」
「萩本君には関係ないでしょ?」
反応が随分と淡白だ事、そんなに怒られることをした覚えはないんだけどな。
「萩本君は席をはずして貰えるかな?」
「……嫌だといったら?」
「別にいいけど関係ないでしょ?なら、口出ししないでね?」
岬さん達は何がしたいんだよ。西浦は関わらないでほしいといってるのに……。
「お節介も粋すぎればただの邪魔でしかないんだよ。」
「君も人の事を言えないと思うけどね。それに……また、関わって自分を犠牲にするんでしょ。私の時みたいに」
「俺は自分を犠牲になんて」
「してるよね?」
言いかける前に岬さんが割り込み俺に有無を言わせない。
「………勝手に決めんな。」
「それはこっちの台詞だよ。私の時も萩本君は勝手にやって、勝手に終わらせた!今回もきっと勝手にやって、勝手に終わらせるんでしょ!」
「なら、岬さんと私は勝手にやる。貴方に何もさせないように。」
何が二人をそこまでさせるんだ?そんなに西浦の件は酷いのか?それとも他に……何かあるのか?
「そこまで、ストップだよ!三人とも。」
西浦は俺達の間に入り込み両方に手のひらを向けた。
「これは僕の問題だよね?何で三人が喧嘩するの?」
「西浦君、それは違うんじゃないのかしら?貴方の抱えている問題は……貴方自身の事ではなく、貴方の姉の事でしょ?」
「本当に調べたんだね。」
西浦はそう言って黙った。ただ、その表情は何処か……悲しそうでそれでいて怒りがにじみ出いていた。
「青森の言った通りだよ。確かに僕の抱えている問題は姉の事だ。けど、それがわかったからって何ができるの?」
「少しの相談とか、何かできることぐらい!」
「岬さん……そう言うとが一番目障りなんだよ!」
岬さんが放った言葉に、西浦は声音を強くして返した。
「相談、何かできることぐらい、ふざけるな!相談何てして何になる、君達に出来ることなんて無いんだよ。」
「でも、相談することで楽になることだって。」
「相談して何かが変わるんだったら……今こんなことで悩んでなんかいないよ……。」
そう言って西浦は岬さん達の隣を通りすぎていった。
「「「…………」」」
そして残された俺たちは無言のままつったている。そこには気まづい雰囲気だけが淡々と流れていく。
この重くるし空気を脱するための方法、俺はそれを三つ知っている。一つ、このまま誰かが話始めるのを待つ。二つ、俺から何かを話す。三つ、即この場から逃げる。この三つである。そして、俺が選ぶ選択肢は……。
「……………」
三つ目の逃げると言う選択肢だ。そもそも、俺はこいつらといる意味がない。だから、俺は二人の間をすり抜けてドアに近づいた。
「……ねぇ、萩本君。」
後ろから岬さんの声がしたので俺は足を止めた。
「萩本君はどうするの?」
言っている意味がわからなかった。何故こんな質問をするのか。だって俺は言ったはずだ。
「俺は西浦の件は手伝わない。そう言ったはずだろ。」
「……本当に手伝わないの?」
「だから」
俺は振り向き岬さんの方に向き直そうとした。しかし、振り向いた瞬間目の前に岬さんがいた。
「私の正直な意見を言うね。私は二人と仲良くしたい。それは二人が仲良くないとダメなの。」
そんな事を言われても困る。俺と青森が仲良くなることなんて事は億が一もないのだから。
「それに今回の件だけど萩本君は理由がないから行動できないんだよね?」
「………」
「だからさ……私が困ってる、私が助けたい!それじゃ、ダメ?こんな理由じゃダメかな?」
岬さんはそっと俺の制服の袖をつかんで聞いてくる。
「……………」
理由がなければ、それがなければ動けない人間はいる。けれど、理由があれど動けない事だってある。
「……これじゃ、足りない?」
「……俺は面倒後とが嫌いだ。」
その言葉を放った瞬間、岬さんの手が離れた。岬さんは悲しそうに、何処かわかっていたと言うような表情をしていた。
「けどな。ま、俺も少し気になるし、手助けくらいはしてやるよ。」
「……え!?い、今なんて言った!」
あれ~、岬さんはいつから難聴主人公に変わったのかな?
「…………もう、手伝わない。」
「嘘、嘘、嘘!聞こえてたから!スッゴい聞こえてたから、手助けくらいはしてくれるんでしょ!」
バッチリ聞こえてんじゃねぇか!何、俺に恥ずかしい思いでもさせようとしてたの?
「………もういいかしらね?」
岬さんの後ろに立っていた青森が痺れを切らしたのか話に入ってきた。
「手助けするのはいいけど、人間でもない貴方に何か出来ることがあるのかしらね?西浦くんにはあんなこと言われてしまったけれど。」
「ちょっと、待て。何でいきなり罵倒されなきゃいけないんだよ。」
青森はにっこり笑うとはっきりと、そして当たり前と言う風に答えてくれた。
「あら、そんな事簡単じゃない。貴方が人間では、ないからよ。」
もう、わかるだろ?何故俺と青森が仲良くなれないか。仲良くはなれないが、仲にならなれる。そう、犬猿の仲に。
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