第3話 ビッチとオタクは表裏一体

 今日も今日とて今日である。


 学校帰り、いつものように真っ直ぐ帰る筈だった。しかし、今日は何故か帰り道とは逆の駅の方へと向かっていた。何故そうなったのか遡ること数十分前の事だ。


「……その、付き合ってほしいのだけど。」


「は?」


「だから付き合ってほしいのよ。」


「やだよ。面倒そうだから。お前とどっか行くのなんか。」


 そう言い青森の方を見ると驚いた表情でこちらを見ていた。


「何?俺の顔がそんなに気になるのか?」


「………そういう反応をするのね。」


「は?」


 こいつ何を言ってるんだ?反応、何かにあったけ?


「普通、男子高校生だったら勘違いをしたりするところじゃないかしら?」


「何に?」


「だから、付き合ってほしいとか言われたら勘違いをしたりするものじゃないの?」


 俺はつい、ため息をついてしまった。だってしょうがないじゃないか。


「お前、ラノベを読みすぎだ。それと、そんなんで勘違いするほど落ちぶれちゃいない。」


 そ、俺は勘違いをしない。昔色々と勘違いをして痛い思いをしているから。つまり、勘違いをしないことにおいては俺が一番、そして、勘違いをさせないことにおいても俺が最強。


「あら、そうかしら?昔実際に試したことがあるのだけど、その子は思いっきり勘違いをしていたわよ?」


「お前……悪女だろ。」


「それは違うわ。相手が勝手に勘違いをして自爆したのだから私のせいではない筈よ。」


 いや、絶対にお前のせいだろ。だって試したって言っちゃてるしな。やっぱり昔から悪女だわ、こいつ。


「ま、いいわ。少しつまらないけど、話を戻しましょうか。これから行きたいところがあるの。貴方は付いてくるだけでいいので来てくれると助かるわ。」


「断る、そもそも行きたいところって何処だよ。それを言わないのについてきてほしいとかないだろ。」


「それもそうね。分かったわ。私のいきたいところは……………」


 ……………………………………………………


 と、言うことで青森につれられ今いる目的地はそう、なんと、まさかの………。


「何で駅前まで来てゲームショップ何だよ。」


「そんなのゲームショップに来たのだからゲームを見るのでしょ?」


 見るのでしょ、じゃねぇよ。何で高校生の男女がゲームショップに来るんだよ。しかも俺の場合はあの後、脅されて半ば強制的に連れてこられたし。


「はぁ、やっぱり帰っていい?」


「あら、貴方の秘密を暴露されたいのならどうぞ?」


 このアマ!と言うか何でこいつが俺の中学時代のコスプレ写真を持ってんだよ!


「それに私そこまでゲームをやったことがないから一緒に選んで欲しいのよ。」


「じゃあ簡単だ。やるな、以上、解散!」


 身を翻して家の方向へ行だした瞬間青森はスマホを取り出しいじりだした。


「Twitterにのせて拡散しようかしら?それともFacebookの方がいいかしらね?ね、萩本くん!」


 満面の笑みをありがとう。そして出来るならその笑みを見せないでくれ、俺が死ぬ。


「よし!さっさと決めるぞ!俺が選んでやるよ!」


「それは助かるわ。ありがとうね、萩本君。」


 マジでこいつ、俺を殺しに来てるだろ。なに、俺の就職先はこいつの奴隷ですか?


 そう思いながら店に入り、ゲームソフトのエリアに行こうとしたとき青森がそこの一歩手前で足を止めた。


「それにしてもゲーム機の種類って多いわよね。家庭用ゲームに携帯ゲーム、何をやればいいのか分からないわね。」


「お前……まさかとは思うが、ゲーム機本体を買うつもりじゃ無いだろうな?」


「そのつもりだけど?」


「………お前もしかしてゲーム事態やったことがないんじゃないのか?」


「ええ、無いわね。」


 ………なるほどな。だからあの時、違和感を感じたのか。そりゃ、ソシャゲの話ばっかりな訳だ。


「お前最近ソシャゲ知っただろ。」


「……何で分かったの?」


「お前がソシャゲの話をするときは決まって特定のゲームじゃなく、ソシャゲ全体の話しかしないからな。」


 前から気になってたんだよな。こいついつもソシャゲの話しはするけど、特定のゲーム、ゲーム名を一切言わないからな。


「……確かに盲点だったわ。それにそれがわかったのなら直の事、今から買うゲームのことを教えなさい。」


「いや、その前にお前、家庭用ゲームか携帯ゲームどっち買うつもりなんだ?」


「どうしようかと思ったのだけど、やっぱり家庭用ゲーム機の方にしようと思うわ。」


「どうやってゲーム機持って帰るんだよ……。」


 家庭用ゲーム、家庭用ゲーム、こいつ一人で持って変えれるのか?


「あら、何のために貴方がいるの?」


「おい、俺をパシリにするなよ!」


「さて、それじゃあアレニシマショウカ。」


 俺の事を無視して青森はゲーム機本体の方に近づいていった。


「まて、俺の話を……」


 その時横から出てきた人とぶつかってしまった。


「キャ!」


「!!すいません!ちょっと急いでて。」


「萩本君……貴方最低ね。大丈夫ですか、私の奴隷が迷惑をかけてしまってすいません。」


 おい、ちょっと待て!今思いっきり奴隷て、奴隷て言っちゃってるよ!


「……いえ、大丈夫です。私も急いでいたので。」


 そう言い立ち上がるとこちらを向き頭を下げてきた。その後ゆっくりと顔をあげてこちらを見てきた人物は……。


 あれ、俺どっかでこいつとあったことがあるような?でも、帽子とマスク被ってるし、それに目元とか見て女性だよな、しかもこいつが出てきた場所ってエロゲーコーナーだしな。


「あ、わ、私もう行きますね……。」


 そう言うと落としていた荷物を持ち横を通り過ぎようとしたとき、青森が女性の方を向き肩に手をおき笑顔を向けていた。


「あら、そんな急ぐ必要ないわよ?ねぇ……。」


「い、え、その私もう行かないと。」


 ん?何でこの人さっきから挙動不審何だろ?それに少し帽子がずれて茶髪が見えてる。……茶髪で女性で、しかもおれの知ってる人物、しかも青森がどう見ても知ってる風だし。


「………もしかして岬さんか」


「…………」


 その言葉を聞いた瞬間、岬と思われる人物は勢いよく振り返り店の中で全力疾走しながら逃げ始めた。


 岬さん……ドンマイ、ここにいる悪女はそんなんじゃ逃がしてくんないぞ。何たって俺もこいつから逃げたことあるが二分と持たなかったぞ。


 つまり、結論から言おう。逃げ始めた岬と思われる人物は店を出た瞬間青森に後ろからのし掛かられ捕まった。


 荷物が袋からでて、帽子が外れて、散々なことになっている。しかもそこにいた人物は案の定岬で、袋から出てきた荷物はエロゲーだった。

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