モンドリ打ってでもひっぱたく

バカな世界だって笑ってた。

タバコをすりつぶし、唾を吐き捨て、ここはさも親切なお店ですって顔して愛想を振りまく。だって、そんなもんだろうって皆いうんだ。

何か変わるのかってちょっとやる気を出して誘った男も大したことはない。ちょっと浮かれたい気分なだけだったのに、本気にされちゃ覚めるだけだ。

ほっとけよ、惨めな雨に打たれて、一人で勝手に打ちひしがれるのは私の勝手だって叫びたい。



あんたと出会ったのはそんな時。

さも人畜無害な顔して近づいてきたくせに、まんまとはめられたのは私だ。

でも、それでも、あんたとの日々は穏やかだった。


あんたと一緒にいる時間だけが、ゆったりと流れていく。

財産も地位も、元々ない。でもその憧れすらもう要らないと思えるほど幸せだった。例えココが廃墟だとしても私はきっと何一つ悲しいと思わなかっただろう。

あんたの手のひらが優しくて、重ねた気持ちが甘ったるくても、胃もたれしないくらい私は酔っ払っていられた。


あんたが手を派手に煩わせても、今なら笑って許してやろう

あんたの足が砂にとられるのなら私が全て飲み干してやる。

頭の黒い鼠になって十字架を背負うっていうのなら、喜んであたしのおやつをくれてやる。

だってあたし決めたんだ。

あんたはあたしの傍に居ろって、傍にいるべきだって。


だから何が何でもひっぱたくって。

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