第8話織女

あなたさまとひとたび契ってしまったがために、もう二度とは離れられぬ定めとなり、年に一度こうしてまみえるのも疎ましゅうございます。千年の恋というものがあるとすれば、人の身にあらざる神の玩具でございましょう。いつまでも儚い夢を見ていたい私は神にも人にもなりきれず、海を渡れば海人が恋しく、山を過ぎれば、あれに見える庵にて美僧があらゆる欲を絶って経文を写しているかと思うと、にわかにあこがれと恋しさが胸に去来するのです。それをお咎めになろうというのならば私のこの胸を突いて下さいまし。この身が滅びるのを待つ間に、幾人の男の胸に抱かれる夢を見るかあなたさまはご存じありますまい。


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第四十四回お題「約束」

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