魔法と魔法

魔法。

それは無くてはならない存在、この世の中を構成している大きな存在、だからこそそこに依存してしまう。それが人間の弱点だ。

そう思ったのは、俺の防御魔法を意図も簡単に壊す、イリシアの拳を見た瞬間だった。


ドォカーーン!


俺は驚きのあまり、勢いよく後ろに飛び、イリシアとの距離をおく。

なんだよ今の、熱運動も止めるアイスルート・インシビリアだぞ、それを簡単に拳で?

それに、いつの間にあんなところに。

やっぱり魔法の証拠がつかめない、なんだよこれは!

俺は訳がわからないイリシアに焦って計画をたてずに攻撃を仕掛ける。


「光を魅せろ、謎から生まれろ、現制の槍となり敵を喰らえ!シャインニング・ゲールスピア」


詠唱と共に、空間に何百もの小さな黄色い魔法陣が表れ、それが光ると同時に、そこから鋭い針のような物が表れ、勢いよくイリシアへと飛び向かう。

しかし、イリシアは神業の様に、それらの槍からイリシアにぶつからないようにしているのか、全く、というか、当たる気がいっこうにしない。

くるりくるりと優雅に回避し、槍はそれに、当たらない。

しかし、俺は諦めなかった。さっきの姿を消す技や、拳といいイリシアには普通の手段は効かない。だから、俺は考えた。

イリシアの背後に、黄色い魔法陣がしく方法を。魔法陣は魔力の適切な調整とコントロールで、自由自在に移動できて、変幻自在に形を変えることができる。

だけど、それには多くの修行と鍛練が必要不可欠。俺はそれらを全て乗り越えて、やっとのことで扱えるようになった。

(まだ、十分には出来ないが)

もちろんその事をイリシアは知らない。


「喰らえ、イリシア!」


俺は、満を持して、その魔法陣に魔力を流し込む。

そして、勢いよく魔法陣から、光の槍が、シャインニング・ゲールスピアが、姿を表しすぐさまイリシアに襲いかかる。

すると、不意を突かれたのか、イリシアの背中に攻撃が当たった!

俺は感極まって、思わずガッツポーズをする。


「見たか、いや、効いたかイリシア!これが俺の強さだ!」


攻撃が散乱したせいか、目の前は砂煙でおおわれて、イリシアの姿はよく見えなかった。

そして、砂煙が収まったとき、俺はイリシアの不吉な笑みを見た。

喰らったはずの攻撃は、まるでかすりすらしなかったのか、イリシアは無傷の状態で立っていた。


「ふふふっ!バーーカ!」


俺は、イリシアの勇敢ゆえに恐ろしい姿に、驚いてしりをついてしまう。


「なんで、無傷なんだよ!絶対当たっただろあれ!」


「魔法だよ、ま、ほ、う」


そんなはずがない、イリシアからは魔法陣らしい気配は感じられない。俺は、イリシアの謎に、そして、あの笑顔に夢中だった。

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