光と、氷

さぁ、勝負スタートだ!


「デュエル オン!」


設備からか、魔法からか、俺でもイリシアでもない機械音が、そう唱えると、コンクリートの、フィールドを半透明な壁が半球状に囲んだ。

これがシールドだと、感覚的に感じ取れる、そんな魔法だった。

その時、俺の体には様々な感覚が混じり入った。

待ちに待ったイリシアとの戦いへの緊張に、初めての実践への興奮に、失敗を避けたいばかりの心配感等々、気が狂いそうだったが、ここで倒れてしまったら意味がない。

集中をイリシアへと向ける。

まず最初は体術だ!

勢いよくイリシアの方へ向かい、いきなりの飛び蹴りを食らわせようと、空高くジャンプをする。

これまでの練習の成果からか、滞空時間も、距離も、魔法を使っていない、丸腰の人間だとは思えないジャンプだった。

これはなんの種もない、努力の賜物と言うことだ!

空中で体制を蹴りの形に変えて、重心を上手く扱い、イリシアに向けて技を食らわす。

しかし、一応師匠のイリシアはやはりこれを、かわしてきた。

いつもならこれで終了、だが、今の俺はこれまでの俺とは一味どころか、料理の種類も違う!

俺は交わされたと同時に、殴りの体制に入る。女を殴るのはしょうに合わないが、こっちが手加減しても、相手は、イリシアはマジで殺しに来るから、あと、手加減したことにめっちゃ怒るだろうし。

どっち道、俺は真面目にイリシアと戦わないといけない。

これまでの戦いとは違う、これは殺し合いなんだ。そう伝えてくるイリシアの殺気が俺の理性を狂わせる。

すると目の前に居たはずのイリシアの姿が一瞬の間に消えた。

まるで、光のようにパッと消えた。

俺は驚きを隠せずに、すぐさま周囲を確認する。

おかしい、イリシアからは魔法の類いの気配を感じることが出来なかった。

それだけじゃない、もし魔法の影響だとしてもここまで速い移動魔法は知らない。

フィールド内どこを探しても、イリシアの姿も気配も見付けることは出来ない、そうわかったとたんに俺はイリシアからの攻撃に備えて、防御魔法を張ることを決断する。

イリシアのことだ、次の攻撃でこの勝負を決めるだろう。時間のムダって理由で。

だから、俺はそれをあえて防御魔法で受ける。そして、認めさせてやる俺はもう、大人だってことを!


「氷結せよ、高潔なる血に染められし、戦いの盾よ、その身をもちて、我が身を死守せよ!…」


俺が詠唱を唱えると同時に、俺を中心に魔法陣が浮かび上がってくる。

青を青く塗りつぶしたような色で、その模様は、歪であり、しかし一つ一つにしっかりとした関係性がある。


「幻想から現れろ!アイスルート・インシビリア!」


詠唱を唱え終えると、魔法陣から氷の巨壁が現れる。

触れただけで凍ってしまいそうな、透明度の高い壁。

全ての攻撃の熱運動を止め、効果を皆無にする。俺の持つ最高レベルの防御魔法だ。

さぁ、どこからでもかかってこい!イリシア!


俺は自信を持ち余していた、その時はまだ。







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