俺を救ってくれた悪魔
彼女の名前は、イリシアーメルコン。
国家S級魔法使いだ。
(S級とは、レベルやランクの様なもので、下から、C・B・A・S・Vとなり、成果や、活躍で昇格したりする。つまり、S級は凄いことだ。)
彼女は、俺が魔法によって両親を亡きものにされたとき、逆に魔法の極意を教えてくれた。
しかし、回りの大人たちとは違った。
大人達は、魔法は素晴らしい、美しい、人のためになる等と、戯れ言を並べては、兵器に悪用する。
それでは、魔法の存在理由を壊しているようなものではないのか。
でも、彼女は、イリシアは違った。
彼女が、俺に魔法を教えてくれたのは、そんな下らない理由より、もっと、そう、それ以上に下らない理由だ。
「なぜ、俺に魔法を教える!」
「え、だってカッコいいじゃん!」
「は?」
俺は唖然した。
こいつも、他の奴等と同じように綺麗事で済ませるのではないのかと、思っていた、しかし、その理由は完全に自己満足ではないか、、、
でも、それでも、綺麗事よりはましか。
そう、俺は思い、両親を殺し、人々を騙す魔法を、このエリート様のイリシアから教わることにした。
しかし、その特訓?は、想像を遥かに越える程のキツさだった。
七歳にして、約30キロメートルを走っていた。しかも、習慣で。
イリシアは、魔法を行うには、まずは体力からだと、理由付けていた。
確かにと、俺も言いくるめられた。
なんか、悔しい!
9歳からは、体術を習った。これも習慣に。
彼女は、カッコいいからと、絶対やった方がいいからと、言って俺に教えてくれた。まぁ、それは良いのだが、問題はほかにあった。
それは、彼女の教育方針である、見て盗めだった。
基礎は面倒だから教えない、ただただ実践を繰り返すだけ。
殴られたり、蹴られたり、吹っ飛ばされたり、殺されかけたり。
普通なら、優しげな心を鬼にして、仕方なくやるところだが、彼女は、日頃のストレスを発散するごとく、楽しんでいるようだ。
心ではなく、本性が鬼なのだろう。
だけど、なんだかんだやられっぱなしも、悔しかったので、俺は全神経を注いで、盗んだ。
そのあとに、裏で練習などを積み重ねて、先天性な才能なのか、俺は約2年で、彼女とも手加減なしで戦えるようにはなった。
まぁ、ほとんど負けるけど。
そして、体力も十分に付いて、背も高くなった12歳の頃からやっとのことで魔法を教えてくれた。
否、魔法でボコられた。
さっきも言ったように、あの悪魔は教師のように基礎や、使い方を教えてくれない。
理由はこうだ。
「だって、メンドーじゃーん」
「おいおい」
本当にあきれる。
まぁ、そんな悪魔を見返す為に自主学習で魔法は学んだ。
悪魔の家には、大量の魔法書があったので、先ずは、その文字から、次に属性、次に基本魔法、のように徐々徐々に覚えて、そしてマスターした。
本当に才能があるかもしれない。
そして、15歳の頃、俺は悪魔にこれまでの恨みを晴らす為の、試合を申し込んだ。
悪魔は俺が隠れて自主学習していることを知らないはずだ。
すると、悪魔は易々と受けてくれた。
少し、違和感を感じたが気にしない気にしない。
今はあの悪魔を倒すことだけに集中しろ!
そして、試合と称した、悪魔退治が始まる。
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