この世界は間違っている!
高本マサレ
俺の不吉な人生のスタート
この世界は、魔法と剣と魔物で成り立っている。
そんな世界に生まれた誰もがこの話を聞かされる。いや、そう教育される。俺だってそう言われた。
しかし、幼少期の俺はそうは思えなかった。絶対に他にもあるはずだと、もっと大きく、魔物よりも邪悪で、魔法よりも利口で、剣よりも鋭利で、何より危険なもの、しかし、その頃の俺は、それがなんなのか全くわからなかった。
だけど、今の俺はそれが何なのかがはっきりとわかった。
魔法、剣、魔物、それら全てを凌駕する恐ろしい存在は、俺たち人間なんだ。
俺は五歳の頃、両親を亡くした、いや、殺されたと言った方が良いだろう。
魔物に殺されたのではない、モンスターと出くわしたのではない、人間の魔法に殺されたのだ。
その時の光景は、頭から離れない。
単なる田舎者の子持ちの若夫婦は、盗賊の無慈悲な魔法によって殺されたのだ。
母さんは俺を物置小屋に閉じ込めた。
幼さが原因か、状況が判断できなかった俺は、外で大きな声をしたことに興味を持ち、物置小屋の窓から顔を覗いた。
すると、明るい光が見えた。
盗賊の産み出したその光は、お父さんと、お母さんを包み込み、次の瞬間、二人の見るにも絶えない姿が現れた。
俺は、絶叫しようとしたが、本能が押さえたのか、ここで気づかれら、今度は俺が殺されると。
俺は音を立てないように、地べたに座り込み、朝が来るまで泣き止まなかった。
お父さんは、お母さんは、あの光は、あの盗賊は、なんで、原因は、どうして、何なんだ!何なんだ!何なんだ!
俺は頭の中でそう叫んだ。
盗賊たちが、家のなかで物色している物音が聞こえてくる。
目的は、金貨や食べ物なのだろう。
そんなことのために俺の両親は、殺されたのか。
そう考えると、頭の中が、青い悲しみの感情から、赤い怒りへと変わっていった。
許せない、許せない、許せない。
だけど、歯向かったら、絶対に殺されてしまう。
だから、決意した。
俺は誰よりも強くなって、この憎しみを、二度と感じないと!
そして、俺は涙をぬぐい、立ち上がった。そして、奴等に気づかれないように、小屋から抜け出した。
それからは偶然が偶然を呼び、俺はある人のお世話になっていた。
スレンダースタイルで、顔立ちも良くて、暗黒の姿を写し出すかのような、真っ黒な、瞳と黒髪ショートが、大人な感じを出していた。
いわゆるセクシーな女性だった。
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