尋問

 コンコン、と竹下は校長室のドアをノックした。

 まだ誰にも気づかれていないようである。


「 お入りください 」

 校長は二人を見ると不機嫌そうな面相をした。

 二人は律儀に礼をした。


「 どのようにして、お入りに? 」

 生徒昇降口からです、というと校長は目を逸らし座りなおした。

 いやいやそうに手でどうぞ、と指し示した。

 二人はゆっくりソファーに腰掛ける。


「 では、早速聞きたいことが 」

「 ……なんでしょう 」

「 私たち二人を入れるな、と言いつけたのは捜一の馬場さん長沢さんのお二人ですが、言い出しは誰なのでしょうか 」

「 警察です。絶対に竹下・中沢を入れるな、と 」

 即答だった。


 竹下は少し間を空けて尋ねた。

「 目的については、何かありましたか 」

「 目的ですか………… 」

 校長はネクタイをいじった。

 中沢は胸のポケットを覗いた。


「 特に、言われてないです 」

「 私たちの警視庁での立場は、ご存知で? 」

「 ええ、とても優秀な方だと、ええ、馬場さんから聞きました 」


「 それは、どのようなタイミングで? 」

 竹下は身振りを加えて熱心に聞き取りを行っている。

「 それは彼らからお二……… 」

 校長は沈黙した。

 竹下と中沢は目を合わせた。


「 ……では、最後にします 」

「 はい 」

「 この学校の生徒はは今まで多くの事件を起こしています 」

「 当校の課題であります 」

「 当然、生徒たちはそれ相応の罰を受けます。それについてどうお考えで? 」


 彼は少し考えてこう言った。

「 確かに罰は受けるべきですが、更生させることが一番大事なのではないかと思います 」


 二人は立ち上がった。

「 では、お時間失礼いたしました。我々はこれで 」

「 はあ、一応あなた方二人は出入り禁止となっていますので、ご協力お願いしたいのですが 」

「 申し訳ありません。では 」

 二人が出て行くと校長のため息が響く。

 彼はタオルで額を拭いた。


 帰りは職員玄関から出て行った。

「 失礼いたしました 」

 受付の人は首をひねった。

 どこから入ったのだろうか、と思っているに違いない。

 彼女は電話機をとった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る