侵入
中沢が高校の前に車を止めた。
既に竹下は何やら資料を眺めながら待っていた。
「 おはようございます 」
「 ああ、おはようございます 」
竹下は御構い無しに読み続けた。
「 あの、どのような用で我々は、ここに? 」
「 校長に真意を確かめるためです 」
中沢は何となく予想はしていたが、具体的に何をするのかがわからない。
「 では、行きましょう 」
何をしにいくのか聞くのは無駄だと中沢は知っている。
職員玄関を開けると、受付の人から不審がられた。
「 あっと……… 」
「 この間もお伺い致しました、警視庁捜査一課の竹下と中沢です 」
中沢は軽く頭を下げた。
すると、受付は眉間にしわを寄せ、「 ああ、こないだの、 」と独り言をした。
「 ええと、校長から警視庁捜査一課の竹下様、中沢様のお二方は入れるな、と言いつけられておりまして 」
二人は顔を合わせた。
竹下は尋ねた。
「 私たちの後に、他の二人組みの刑事はきませんでしたか? 」
「 顔がちょっといかついのと、髪の薄いヘニャヘニャの二人です 」
中沢は二人を叩きつつ、加勢する。
「 え……あ……あの、お客様……? 」
二人の後ろには馬場と長沢がいた。
「 竹下ー、中沢ー、お前ら、なんでここにいるんだ? 」
「 いかついのと薄いお二方です 」
二人はけっ、と言い二人を後ろへ押した。
「 お恥ずかしいところをお見せ致しました 」
馬場は嫌味増量で謝罪した。
「 中沢くん、一旦逃げましょう 」
「 え? 」
二人はそっとそこを去り、外の木の陰で待ち伏せた。
馬場・中沢が去るのを確認してから二人は生徒昇降口から学校へ再侵入した。
再侵入は成功した。
「 俺たち、バカなんじゃないか……? 」
中沢はそう思った。
竹下の目に光が溜まっている。
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