疑惑

「 もしもし、竹下です 」

 二人はどうせ出勤できないため、電話で報告をしあっている。


「 竹下さん、どうですか?」

「 残念ながら学校設立にあたって何か不自然なところはありませんでした。中沢くんはどうでしたか? 」

 彼はふふ、と笑った。


「 そう言うと待ちかねていました。竹下さんもご存知の通り、東山高校は底辺校です 」

「 言い方、酷いですね 」

「 まあ。で、開校当初からどんどん偏差値は下がる一方で。元は40前半でしたが34ほどになっていますね 」

「 とても下がりましたね 」


「 校長は開校からずっと、彼です。で、いろいろ警察沙汰を起こしていて 」

「 はあ 」

「 しかし保護観察処分がとても多いんです。内容も内容で、本来ならばもう少し厳罰であるべきです 」


「 賄賂があった、と 」

「 そう思われます。校長もそれ以外に警察と関わるようなことはなかったのでこの警察沙汰によって関係を持つようになったと 」


「 賄賂をひたすらに隠しているとなればどのように裏をとりますか? 」

 竹下は答えない。


「 竹下さん? 」


「 竹下さんー? 」


 竹下はフリーズしたのか喋らない。


「 竹下s…… 」

「 聞こえています 」

「 聞こえているならば答えてください 」

「 中沢くん、東山高校で集合しましょう。今すぐ、お願いします 」

 早口で彼はそう言うと勢いよく電話を切った。


「 竹下さんー?竹下さんー? 」

  puーpuーpuー


「 仕方ない、行くか 」

 中沢はコートを羽織った。

 「 要件ぐらい言ってくれてもいいのに 」と呟いて。

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