労基

「 米村さんー 」

 朝8時。多くの捜査員が睡眠不足で倒れている鑑識室。

 公務員はなんてブラックなんだ、そう呟く。


「 うぅぅ………朝かっ いつ間に寝てっ……竹下さん! 」

「 おはようございます。ご苦労様です 」

 捜査一課の竹下学は米村の後ろに立っていた。

 彼は奇抜な捜査と推理により一課を陰ながら支えている、そういう人物だ。


「 竹下さんこそ朝早くから…… あ、そうだ。どのような御用でしょうか? 」

「 監視カメラを見たくて 」

 そう言いながらバナナを差し出す。差し入れらしい。


「 ああ、監視カメラの映像ですか…… 」

 バナナを食べつつUSBメモリを差し出す。

「 こちらです。この中に付近の全ての防犯カメラの映像を抜き出したものが入っていますので 」

「 どうも。ありがとうございます 」

 いいものをもらったというふうに丁重に取り、彼は鑑識を後にした。


「 とはいえ防犯カメラに大したことは写っていないのに何をするのだろうか 」

 しばらく考えまあいっか、と思い彼は生ゴミのゴミ箱はどこにあるのだろうと今更ながら思い、バナナの皮の処置に困ってしまった。

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