第7話 二日目 朝
『朝になりました、プレイヤーの皆さんは広場へお集まり下さい。繰り返します。プレイヤーの皆さんは……』
うるさいほどの放送に僕は目を覚ました。まず自分の身になにか異変がないか確認する、、、なにもない。
部屋も荒らされた形跡はなかった。
「……襲撃は無し……と……」
僕は着替え、広場へと向かった。
広場には既に荒井、中村、脇部、新嶋、白城、菊岡の6人がいた。
「ウェルナー、生存確認」
脇部が言った。どうやら点呼をとっているらしい。
「人狼はもしかして本当に誰も襲わなかったわけ?」
「……だといいがな」
荒井の疑問に菊岡が言った。そしてその後、雷ヶ浜、大崎、神川、桜田が集まった。
「あれ?寺口は……?」
脇部の言葉に皆が顔を合わせた、まさか……。
「い、いや。そんなわけないよ。きっと寝坊さ。俺起こしてくるよ」
中村がそう言い広場をさった。
「脇部、嫌な予感がする。俺らも行く。行くぞ、ウェルナー」
「え?あ、うん」
僕は神川に言われるがままに行動し、彼の後を追った。広場から少し離れたところで神川は言った。
「今から恐らく殺人事件だ。誰も部屋を入れないようにな」
「え?、じゃあ……」
僕が質問をしようとした時だった。
「う、うわぁああああああ‼‼‼」
中村の叫び声が聞こえた。方向は寺口の小屋だった。
「ッ‼、急ぐぞ‼‼」
「わ、わかった」
僕らは寺口の小屋まで急いだ。寺口の小屋の前では中村は小屋の中を見て腰を抜かしていた。
「中村‼大丈夫か⁉」
「あ、ああ、あれ……」
中村が指を指した先に……
「て、寺口君……」
彼は仰向けに倒れていた。中から異臭がし、そしてその目は見開き彼の体の周りの木材の床は真っ赤になっていた。死んでいるのは明らかだった。
「……嘘だろ?」
中村の声に誘われたのか広場にいた人達が集まって来た。
「誰も小屋に入るんじゃねぇ‼‼」
神川が中に入ろうとした脇部を大声をあげて防いだ。
「ここは殺人現場になった。この部屋には入るな、ウェルナー、奥の部屋に浴槽があるはずだ、そこに水をくんで来てくれ」
「了解」
僕は奥の部屋へと向かった。やはりどの部屋も同じ感じらしく、浴槽があった。僕は水をくんで再び神川のもとへ行った。
「瞳孔散乱、脈拍無し……死亡確認」
神川の言葉に外にいる他のメンバーは動揺した。無理もない。クラスメイトが本当に死ぬなんて誰が考えただろうか。
「ウェルナー、その水を使って寺口の血を洗い流してくれ」
神川は寺口の上着を脱がしたので、僕は寺口の主に腹部を洗った。
「ウッ……ごめん」
白城が口を押さえながら走っていった。それを大崎が追いかける。確かにこんな臭いに耐えれる方が凄い。僕も結構辛いのだが……
「なるほど……腹部に十数ヵ所刺し傷、背中に1つか……」
神川は遺体を触りながら言った。神川は死体慣れでもしているのだろうか、全く辛そうな感じはなかった。
それはそれで恐ろしいことだが。
「腹部と背中以外の外傷は見られない事から死因は鋭利な刃物による出血多量とみる」
そして彼は断言した。
「どうやら人狼は俺らと協力する気はないらしい。……人狼ゲームが本当に始まったんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます