第6話 一日目夜(2)

 僕は投票後に解散した後、神川の小屋へと訪れた。彼は僕をすんなりと中に入れてくれた。中は僕の小屋と同じような造りだった。僕は言った。

「この投票で誰も死ななかった・・・それはいいことだけど、人狼も減らなかった・・・これっていいことなのかな?」

「それは人狼次第だ、しかしこの投票は人狼側にとって有利になったのは間違いない」

神川は冷静に言った。そして僕はぎりぎりまで神川と意見を交換することが得策だと思った。

「今回の役職・・・占い師や霊媒師はかぶってくるからあてにならない・・しかも狩人は潜伏するのが得策だろう、となると市民側のカギとなるのは恐らく」

「・・・僕たち、共有者だね・・・」

 神川は頷いた。たしか神川は人狼アプリをやっていないといっていたが、既にここまで理解しているとは思ってなかった。さすが師匠である。

「だが、狂人もなかなかに厄介だ。ウェルナー、お前確か人狼アプリやってるらしいな?狂人はどうやって人狼とコンタクトをとるんだ?」

僕はすこし考えていった。

「大体狂人の人は占い師coしてから適当に白だしをしてますね」

「ウェルナー、俺は専門用語は全く知らない。coと白って何だ?」

「あ、すみません。まずcoっていうのは自分の役職を他のプレイヤーに教える事です。また白というのは市民の事を指します。逆に人狼の事は黒と呼びます」

「なるほど、理解した。なら俺たちはまだcoしないでおこう人狼を見つけた時にしよう」

僕は頷いた。そしてもうそろそろ小屋に入らないといけない時間になった。ここから人狼の襲撃する時間が始まるのだ・・・

 僕は自分の小屋に戻ってベッドに寝転がった。はっきり言って誰が人狼なのかわからない。そもそも人狼が僕らに協力するのかもわからない・・・

そして僕は気が付いたら眠りについていた。


皆が寝静まった後、二人の人影が広場に集まっていた。

「どうする?市民に協力する?」

「まさか、自分たちは誘拐されているんだよ?もしいうことを聞かなかったらみんな死んでしまうだろ?」

その人影は・・・人狼の二人だった。

「わかった・・・じゃあ誰を殺すの?」

その手には大型ナイフが握られていた。

「まあ、まずはアイツの所へ行こう・・・」

「うん・・・・あれ?ねぇ、これ見て」

人狼の片方は机の裏にある小さなメモを発見した。そこにはこうあった。

『どうも、私は狂人です。この手紙を見つけたら捨ててください。明日の朝いちばんに人狼の方は私の小屋に来てください。○○より』

「これって・・・」

「・・・狂人のメッセージだろうな」

「これってありなの?」

「まあ、大丈夫だろう。とりあえずやりに行くぞ」

「了解」

二人は狂人からのメモを持って襲撃先へと歩いて行った。

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