第4話 4

「来ないね?」

「来ないですね?」


蛍たちは見つけた宿屋の側で身を隠し、宿屋が野党に襲われるのを待っていた。


「お腹空いた。」

「空きましたね。幽霊ですけど。」

「蛍ちゃん。ちょっと宿屋を襲ってきてよ。」

「俺を犯罪者にしたいのか!? クソガキ!?」

「静かに! 野盗が現れましたよ!」


その時、待ちに待った野盗が宿屋に現れた。


「ここに刀を持った男と女の子の二人組が来なかったか?」

「き、来てません!?」

「正直に言えば命は助けてやるぞ?」

「し、知りません!? 本当です!?」

「ちい、手掛かりなしか。」


明らかに野盗は蛍と楓を探していた。


「やい! 野党共! 宿屋で暴れるな! 蛍ちゃんが成敗してくれるぞ!」

「人前で蛍ちゃんって言うな!?」

「まあまあ。」


宿屋に蛍たちが颯爽と現れた。


「刀を持った男、女の子・・・、ああ!? こいつらだ!?」

「え?」

「蛍ちゃん!? 登場するタイミングを間違えたんじゃない!?」

「野郎ども! 仲間の敵だ! こいつらを殺せ!」


野盗は標的の蛍たちを見つけ襲い掛かってくる。


「一先ず、逃げるぞ!」

「蛍ちゃん、頭いい!」


蛍たちは宿屋の入り口から外へ逃げ出した。


「キャアアア!?」

「クソガキ!?」

「楓!?」


その時、幼い楓がこけてしまった。


「へっへっへ! 捕まえた!」


楓が野党に捕まってしまう。


「さあ、話してもらおうか。おまえたちはいったい何者だ?」

「ただの通りすがりの者です。」

「ふざけているのか!?」


野盗は蛍の態度に激昂する。


「こちらからも一つ質問していいですか?」

「ああ!?」

「いつ蛍が光るか知っていますか?」

「そんなもん知るかよ!?」


蛍は鞘から刀を抜き構える。


「蛍は悲しい時に光るんですよ。」


蛍の目つきが普段と違い、楓が人質に取られ怒っている。


「それが噂の妖刀か。素直に刀を寄こすなら命だけは助けてやってもいいぞ? ハッハッハ!」

「助けて! 蛍ちゃん!」


高笑いする野盗。


「断ります。」

「蛍ちゃんの薄情者!?」

「妹を助けて下さいよ!?」

「はあ!? おまえ、女の子を見殺しにする気か!?」


蛍の態度は味方からも敵からも疑われた。


「あなたの命を救う気が無いからです。」

「!?」

「!?」

「!?」


蛍は楓を人質に取った野盗を許す気はなかった。


「楓に手を出すな! 蛍火!」


蛍が楓を人質にしている野盗の服に着く。そして、発火した。


「ギャアアア!?」


野盗は青い炎に包まれて燃えて死んだ。楓は野盗から離れ助かった。


「ギャアアア!?」


蛍は刀を一振り振るった。一瞬で周囲にいた野盗たちを皆殺しにする。


「全て俺の作戦通りだ。」

「蛍ちゃん! 頭いい!」

「・・・絶対に嘘よ・・・うちの妹を見殺しにしようとしたくせに・・・。」


不安から解放され喜び抱きつく楓。その二人の光景を疑いの眼差しで見る桜。


「パチ、パチ、パチ。さすがですね。妖刀、蛍光刀。」


そこに野党の用心棒の先生が拍手しながら笑顔で現れた。


つづく。

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