2『第1相ダイジェスト』
甲「さて、今回から本編のダイジェストに入る訳だけど、いささか前回は始まりと言え――」
乙「内容にまとまりがなさ過ぎましたね」
甲「うん。なので今回からは『どんな展開か』と『どこがキーポイントか』。この2つの質問に答える形で各相を解説していこうと思う」
乙「1つのクエスチョンにつき1500文字で計3000文字、ですか」
甲「いやまぁ、相によって話数に大幅なばらつきがあるから、『平均3000文字前後』と捉えて頂ければ」
乙「第4、5相なんかは明らかに他より長いですからね……3000文字で纏まるんですか?この辺」
甲「努力はするさ。例えば今回を短くして帳尻合わせるとかね」
乙「走り出しから不安だなあ……とりあえず、やっていきますか」
Q1 この相はどんな展開が起こる?
甲「本編の始まりとなる第1相は、主人公である『石井 達也』の見る夢からスタートする」
乙「見覚えのない建物の中を徘徊して、屋上で出会った何者かに手を伸ばす所で目が覚めるんですよね」
甲「果たしてそれは誰なのか、そこは語られないまま夏の朝を迎える。そこからはよくある独り暮らしの出勤風景だ」
乙「ある勘違いによって盛大に遅刻を叱られた後、『
甲「このふたり……いや、主人公の石井も含めて3人はプロローグC『クソ飲み会エレジー』でも登場し、既にそれぞれの関係性が匂わされているね」
乙「はい。そこをもう少し踏み込んだ取り留めない
甲「……まぁともかく、石井が普段通りの1日をやり過ごした後、帰りの道すがらコンビニに寄る訳だけど――」
乙「そこで何気なく手に取った週刊誌で、猟奇的な事件の記事を発見します。現場がどこなのか、そして被害者の状況を読めばすぐに繋がるあるポイントが頭に浮かぶでしょう」
甲「だね。そして場面は週末の居酒屋に移る」
乙「仕事中に鏑木から約束を取り付けられたサシ飲みですね。そこで語られる先程の事件の続報、そしてこの年代の男飲みならではの話題。それぞれが石井に大小の驚きをもたらします」
甲「そしてあわや終電を逃しそうになった鏑木と別れ、酔い覚ましがてら受け取ったニュースに対してぼんやりと考えながら歩く石井の姿が、この相のラストシーンとなる……日常パートだわな」
乙「本編の始まりとはいえ、大きく事態が動くのはまだまだ先、という訳ですか」
甲「そういうこと。でも既に微かな足音は響き始めているんだけどね」
Q2 この相のキーポイントは?
乙「キーポイントと言いますか、今後の展開に備えて覚えておくべき所と言いますか」
甲「まぁさっきも言った通り、まだまだ非日常は姿を見せていない。さらっと読み流しても全然影響はないよ。どちらかというと彼らの年代と自分の歳を比較して、それぞれ違う楽しみ方をしていただければって感じかな?」
乙「というと?」
甲「ここはどうやったってありふれたサラリーマン生活の一幕だ。読んでくれている方が石井達より下の世代ならば『学生時代のノリが抜けきらない週末もある』って感じてくれればいいし、同年代ならば社内のいざこざを見て頷くなり『そこまではウチでもないわ』と笑うなりしてくれればいい」
乙「なるほど、なら彼らより上の世代なら『こんな時期もあったな』とノスタルジってくれればば幸いという事ですか」
甲「何その略し方……20代の後半に差し掛かるこの年代って、社会的な責任を帯び始めながらも、まだまだ選択の自由が多い、良い意味で中途半端なところさ。けど同時に同い年、同じ立場でも微妙に異なるグラデーションに身を置き始める時期でもある。石井と鏑木、今ははす向かいで同じ酒を飲んでいるけど……10年後20年後。自由の大半が責任に置き換わった時、それぞれが公私ともに全く異なる立場に立っている訳。その分岐点の始まりが、この歳で行う選択だと思うんだよね」
乙「おっさんの説教ですね」
甲「うるさいよ。とかく、この2人の会話を読んでくらーい気持ちにならなければ、人生上手くいっていると思っていいと思うな」
乙「書いてる人サラリーマン時代思い出して1回吐いてますからね」
甲「それは引くわ」
乙「さておき……じゃあ、本当にこの相には今後のフックはないんですか?」
甲「いいや?まるっきり無意味だったらエピソードの意味ないだろ?」
乙「そりゃそうですけど」
甲「伏線とまでは言えないものの、この相もプロローグ同様沢山の種が撒かれている。今後に改めて示唆されるからここで注意深く読み込む必要はないってだけさ。全てを追うならここを閉じて、ぜひすぐに本文を読んでほしい所だ」
乙「それ言っちゃったらダイジェストの意味が……なら、強いて言うなら?一応このクエスチョンの答えを提示しないと締められないじゃないですか」
甲「それもそうか。じゃあ、『石井と三吾の不仲の原因はなんなのか』そして『鏑木の言うバイトとは一体どんなものなのか』このふたつを挙げておこうかな」
乙「いずれも物語に深く食い込んでくるところですね」
甲「まぁこの時点では、どっちも答えの出しようがないんだけどさ。でも、このふたつを心に留めておくと、先を読んだ時に本文で明かされるより前に気付く事があるかもしれない」
乙「石井の見た夢の正体は?彼は既に大半を忘れてしまっているようですが……」
甲「それはこの先割とすぐ段階的に明かされていくから、考えるより読み進めた方が早いと思って」
乙「成程。良い感じに締まって、次回への引きも出来ましたね」
甲「少し唐突な気もするけどね……字数も丁度いいから、今回はこの辺りでおさらばしようか」
乙「それでは」
甲「また次回」
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