北欧の昔ばなし『尻尾の釣り』

 魚売りの猫が魚を積んだ荷馬車を走らせていると、狐が忍び込んで魚をムシャムシャ食べてしまった。

 猫はそれを見つけると

「なんにゃ、このにゃろ!」

「やめて、やめてコン」

と、鞭で打った。

 すると、狐は死んだようになり、猫は

「他の連中に、毛皮とか肉をやろうにゃ」

と、荷馬車に放り込んだままにした。

 すると狐は魚を投げおとし、たくさんの魚を手に入れた。

 美味しそうに食べていると、熊がきて

「その魚、どうしたクマ」

と、尋ねた。

 狐は

「氷の穴に尻尾をつけたら、魚いっぱいだコン。コツは、すぐに引き上げないで、魚がしっかり食いつくまで、待つコン」

と、こたえた。

 それを信じた熊は

「そうか。オレもやってみるクマ」

と、尻尾を氷の穴につけた。

 そろそれいいだろうと引き上げようとしたら、凍りついてしまって、必死で引っ張った。

「い、痛いクマ!」

 結局、尻尾は根元から切れてしまい、その日から熊の尻尾は短くなったという。

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