H30.5.6の『NISSAN あ、安部礼司』について(リニューアル後)

 リニューアル後の『安部礼司』について感想書きます。


 ◇


 イマツボソングがなくなったので、今昔入り乱れた選曲なんだろーなと予想していたが、実際にイマツボじゃなくなった選曲は、ケッコウるものがある。

 

 まず一曲一曲が長くなった。

 そして選曲は、それぞれのドラマに合わせたものとなった。

 そしてドラマは以下の三本仕立ての構成となった。


一本目:神保町のサラリーマンの小噺

二本目:安部礼司の会社のいつもの面々の物語

三本目:安部家の話


 それぞれの冒頭で安部礼司が狂言回しをする。

 まるで『この物語はフィクションです』と言わんばかりの明瞭さでこちらに話しかけてくる。


 ◇


 一本目は安部礼司でもなんでもない、ただのラジオドラマ。


 二本目は今までの安部礼司……のはずだが、どうもしっくりこない感じだった。

『トレンドの荒波にもまれる』話だというが、今回は立ち食いソバの話で、あんまりトレンドを感じるような内容ではなかった。

 東洋経済やプレジデントやビジネス書から引用していた今までのほうが、サラリーマンリスナーからは重宝されていたと思う。


 三本目は安部礼司の家族の話。これもサラリーマン要素が抜けた家族ドラマ。

声優声優した子供の声はさておいて、おそらくこういうドラマの筋があるお話を作ってみたかったのかもしれない。『次回へつづく』な要素もラジオドラマ然としている。


 以前はラジオドラマ(フィクション)と、実態調査(ノンフィクション)が入り混じった構成で、ラジオドラマだと思って聞いているリスナーにとっては、聴きづらいものだったのだろうか。しかしフィクションとノンフィクションをまぜこぜにする構成は、ドラマのキャラクターが実際にこの現実に存在しているかのような感覚で聞けていた。


 キャラクター要素が強くなっていた『安部礼司』を、ドラマ要素を強くすることで、凡百なラジオドラマに変容した感じを受けた。

 サラリーマンに寄り沿うラジオから、ちゃんとした物語的ラジオドラマにかじを切ったようだ。


 ◇


 リニューアル第一回目なので今はまだなんだか暗中模索のような印象だが、初聴の感想といえば「もどして」だ。

 前回の放送最後に、リニューアルするが、安部礼司や大日本ゼネラルの面々は変わらない、と言っていたため少しだけ安心したのだが、今回聞いてみると、ケッコウびっくりするぐらい変わってもやもやする。


 一番のもやもやはことだ。


 リニューアル前は毎回冒頭で、

『この物語はごくごく普通な昭和生まれのナイスサラリーマン安部礼司が、トレンドの荒波に揉まれるすがたと、それでも前向きに生きるすがたを描いた勇気と成長のコメディである。日曜の黄昏時、若さと渋さの間で揺れるあなたに贈る、鼻歌みたいな応援歌をツボな選曲とともにお楽しみください』

 とコンセプトを説明していた。

 しかし前回イマツボを捨てたことでこのコンセプトはなくなったと見ている。


 ならば新しいコンセプトはなにか。

 この一か月でコンセプトを知りたい。

(今までと同じコンセプトだと思っているなら、ちょっと怖いですけど)


 「糸の切れた凧」や「ポールから取れた旗」にはならないでほしい。

 支えとなったコンセプトがなくなり、縦横無尽に煽られて、あっちいったりこっちいったりして、最後はボロ雑巾みたいに地面に落っこちる。

 そんな最後にならないよう、草葉の陰から生暖かく見守っています。


 カリヤが戻ってきたら戻ってくるね!

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