魔導世界の百鬼夜行（ファンタズマ）

後神

・後神（うしろがみ）―Ushirogami

　人型　女性

　身長：四尺九寸――約151センチ（ただし髪の長さは157センチある）

　体重：浮遊しているために測定不能

　所属：藁垣（わらがき）百鬼夜行本家　

　役職：当主御側付き

　願い『真正面から笑顔を見たい』

　能力：後背転移……自身を中心とした周囲三百メートル内の物体、生物の背後に転移する。必ず相手の背後でなければならず、若干のズレもなく真後ろに転移する。仮に生物の背後に転移を試みて、その生物が転移の瞬間に背後を振り返った場合、対象の視界からして真後ろの位置に転移する。元は敵から逃げるために使っていた能力だったが、藁垣家当主と出会い実戦的活用法を見出される。以降、彼女はこの能力に対して若干ながら前向きになれた。

　詳細：藁垣愁思郎（しゅうしろう）御側付き妖怪。異能と自らの性質上、ものの正面に立つことができず常に何か、もしくは誰かの背後に存在する。

　愁思郎一五歳の春に勧誘された、他の妖怪からしてみれば古株である。藁垣家百鬼夜行の数が二百を超えた頃、妖怪らをまとめあげる幹部の一体になると期待されていたが「私は愁思郎の御側付きなの！」と自らその座を蹴る。

　『後ろ髪を引かれる』という言葉の語源であり、躊躇と優柔不断の化身とされているが、本人はハキハキと物事を決める性格。本人も、何故そんな後ろ向きな言葉の語源になったのかわかっていないよう。

　「背後霊」と呼ばれることを極端に嫌う。後神と背後霊、似ているようで全く違う……らしい。

～次回予告～

　秘密とは危いものでございます。良策なのは秘密を持たないこと、知らないことでございます。しかし人間、秘密を持っていないと寂しい生き物で、秘密と聞けば知りたくなるのが世の常にございます。

　次回「魔導世界の百鬼夜行（ファンタズマ）」――壁に耳あり障子に目あり――それでは皆様、お手を拝借。