おじさんとパフィンちゃん〜ブドウがおいしいですねリスペクト編〜
しんと静まる会場。
スポットライトを浴びるのは、PPPメンバーのフルルことフンボルトペンギン。
そして、幾輪もの花に囲まれフルルのバックに立てかけられている一羽のペンギンの写真だった。
ペンギンの名前は“グレープ君”。
つがいのメスペンギンとの別れや、物言わぬキャラクターパネルと親しげにするなど波乱万丈かつ奇妙な人生を送りつつも天寿を全うしたオスのペンギンである。
フルルはとある事情からグレープ君と縁が深くなり、彼の葬儀にも立ち会っている。
そのような経緯もあって、今日この日のグレープ君の命日と重なったライブに彼女のソロ曲が発表される事となったのだ。
「グレープ君。私たち、出会ってからずっと一緒だったよね。ベッドから動けないおじいちゃんになっても、一緒にいたよね」
口を開くフルルの表情は穏やかながらも、その声は僅かながら震えており、会場の観客達の中には感化されてグレープ君が存命だった頃を思い出し涙を流す者もいた。
「フルルとの約束、忘れちゃいやだよ。いつか絶対、また会えるからって。あの約束、ずっと忘れないでね。今から歌うのは、約束の証拠にもなるとっても大事な歌。みんなにも、フルルとグレープ君の約束を覚えていてほしいな」
スゥッと息を吸い込むフルル。静寂に包まれる会場内で、声を発する者は誰一人としていなくなる。
「それでは聞いてください________
“やけくそのうた”」
「っお゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛い゛!!!!」
目を覚ましたフルルにそっくりなペンギンのフレンズは、一瞬で湧き上がる怒りをぶちまけた。
「ほ゛く゛生゛き゛て゛る゛よ゛お゛ぉ゛!!ヤケ起こしちゃだめだよフルルうぅ!!そこはちゃんと“やくそくのうた”歌おうよおぉ!!台無しだよおぉ!!」
「グレープ君うるさいよ〜」
「あ、本物のフルル!やくそくのうた歌って!」
「眠いからやだ〜」
「今゛歌゛っ゛て゛く゛れ゛な゛い゛と゛や゛け゛く゛そ゛の゛う゛た゛に゛な゛っ゛ち゛ゃ゛う゛ん゛た゛よ゛お゛ぉ゛!!!!」
「もーうるさーい!」
「ぁ痛い!お尻叩かないでぁ痛い!」
その後、鬼の形相のプリンセスが二人を正座させていた所をジャイアント先輩ことジャイアントペンギンが目撃したと言う。
〜〜〜〜
あんかけ焼きそばぴーさんの作品「ブドウがおいしいですね」のリスペクトネタでした。
グレープ君のキャラこんな感じでよかっただろうか。
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