第12話 激怒想像

「高山行こ!ねえねえねえ!」

「こうざん?」

「私飼育員でしょ?疲れたからカフェで紅茶飲みたいなって!」

カフェは賑やかで楽しいぞ~!私から楽しい所に誘われたんだから感謝……!

「パス」

「え?」






嘘だろ?

「高山行こ!楽しいよー?じゃぱりまんもある!美味しい飲み物『紅茶』もある!素晴らしいと思わない!?」

「パスっつったらパスー!私じゃんぐるの方がいいー!」

「貴様……」

私の誘いを断りやがって。

「楽しい!楽しいよ!?」

「たのしー!?どこどこー?」

「コツメカワウソは呼んでない……」

「じゃんぐるちほー楽しいよね?」

「うーん……分っかんないけどー、じゃんぐるちほーは滑り台あっていいー!」

「滑り台は私に関係ないんだよな……もっとじゃんぐるちほーっていい所ないの?」

ふふふ……コツメカワウソに頼って自分で考えてない時点で降参してるんじゃね?

「滑り台以外はー……熱帯雨林綺麗ー!」

「そ、そうだよ!熱帯雨林綺麗じゃん!なんなら案内しようか!?綺麗な所知ってるよ!」

「高山からの景色も綺麗だよ?なんなら案内しようか?」

「……」

「楽しい思い出作ろう?」

「黙って?」

「え?」

「私の為なの?」

「そうだけど……」

態度が急変した。とても重い感じだし……

「私の為なら諦めてよ馬鹿野郎!」

「え?怒った?ゴキブリ、怒った!?うわー!」

あのコツメカワウソが逃げる。ゴキブリ……怖い……

「ヒトはそうやって私を痛めつけるだよね?裏切るんだね?」

こんなゴキブリ初めて見た。涙を流しながら私に訴える。

「お前は私の飼育員じゃねえ!」

ゴキブリが逃げる。私は後を追いかける。

「近づくな。向こうへ行け。お前と私は赤の他人だ。」

……こんな事になるなんて。私も泣き崩れる。






……ヤバイな。不覚にも少し笑ってしまった。

ゴキブリが不思議そうな顔で見つめてくる。

「どした?」

現実こっちのゴキブリは平穏である。

「ゴキブリ怒ったら怖いな……クスクス」

「え?私ホシの前で怒った事ないよ?」

「ごめん、怒った姿を想像しただけだよ……クスクス」

「どんなイメージ?」

「結構怖いw」

「怖いのに笑ってるの!?ってか何で急に怒った姿想像してんの?」

そりゃそんな反応するよねw

「笑ってるのは今のゴキブリと全然イメージ違うから。後、怒った姿想像したのは、今言ったカフェを無理に押しつけたらどうなるんだろ……って考えて。」

「押しつけないで~w」



そう、今までのは私の想像というか妄想というか……

まあ現実ではない。

ゴキブリが怒ったら本当に怖いな……いや、これ想像だからもしかしたらあまり怖くないかも……?





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