第6話 湖と砂漠

窓から日差しが差し込む。もう朝か。

「起きてー!」

あ、ゴキブリ。っていうかバスの中の全員起きてるし……

「ホシさん起きましたか?もう出発してよろしいですか?」

「はい!」

「では出発ー!」

「「「わーい!」」」


「あ、湖が見えてきましたね!」

昨日借りた本を読んでたらあっという間に湖だった。

「確かあそこには家があって……あ、ありました!実はあれ、フレンズさんが造ったんですよ♪」

ええ!?動物が造ったとは思えない程完成度高いんだけど!?

「うーん……ここはこうした方がいいッスかね?」

「こうでありますかー?」

「相変わらず早くて効率の良い作業ですねー。」


「すごい……私はゴキブリだから無理……」

「大丈夫!ゴキブリにはゴキブリの良さがあるはず。」

「え、君ゴキブリだったの!?」

ゴキブリの隣の席の飼育員らしきヒトが声をかけてきた。気持ち悪がられてしまうか!?と思ったけど……

「あ、悪く思ってないよ。ただ、綺麗で名前知りたくて……」

「そういう事か……」

「声も可愛い!フレンズってやっぱりいいよね~!」

「まあゴキブリがこんなに可愛くなるんだもんね」

「君がゴキブリの飼育員?僕も飼育員だよ!担当フレンズは『ミナミコアリクイ』なんだ!今はジャングル地方にいるんだけどね。」

アリクイか~。ジャングル地方に住んでいるのかな?

「あ、僕はネイタ。よろしく!」

「へぇ、私はホシ。よろしく~」


「そろそろ行きますがよろしいですか?」

「あ、はい!」

こうしてバスは湖を出発した。地図を見ると、次の『砂漠地方』を越えると『ジャングル地方』だそう。

「砂漠……?」

「バスだから余裕でしょ」

なんて思ってました。砂漠地方に行くまでは。


本を読んでたけれど、なんかだんだん違和感を感じるようになってきた。

何だろう?そう思って外を見たら砂漠地方だった。しかも……バスなのに……

「暑い!」

バスにまで熱が来ている。砂漠地方なめてた……

「まあまあ、今から涼しい所に行きますよ!」

「涼しい所?」


成る程……バイパスか。

「ここは遺跡のアトラクションですが……ツチノコさんが嫌がっているので立ち入り禁止ですね。」

ツチノコ!?ってあの想像と違ったから飼育しなかったフレンズか……

「あ、あれはスナネコさんの家の出入口ですね。ルートにしていいか許可は取っているので入ります!」

「スナネコ?」

「『砂漠の天使』とも呼ばれてる猫ですよ!」

「ネイタ君!詳しいんだね!」

「僕は『フレンズ図鑑』を借りたからね~」


「わーばすだー」

あ、あの娘がスナネコかな?確かに天使……!

「じゃあねー!」

あっという間だな!



私は本を読んで時間を潰す事にした。

次に我に返った時には、待ちに待ったジャングル地方に着いているだろう。







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