第5話 森と平原
「あれがジャパリ図書館ですね!」
ミライさんの一声で自分の方にある窓からミライさんの方にある窓に目を移した。
りんごの形をした図書館と思われる建物があった。
「本を借りたいヒトはここで本を借りましょう。ただ、このバスを街地方に送る際に返すので、このバスがジャングル地方に着くまでに読み終われるなら借りても良いですよ。」
私は速読が得意だから借りていくか。
「じゃあ私借りていきます!」
「はい!ではこちらから出て下さい……」
「私もついていくよ!気になる……」
「そう?じゃあゴキブリも行こう!」
「わーすごーい!」
思わず感嘆の声を漏らしてしまった。だって本がいっぱいあるんだもん!
「何ですか?うるさいのです。」
「本を読んでるヒトでさえ静かにしているのに。」
「あ、あなた達はフレンズの中の長の!」
「むぅ……間違ってはいないのですが『我々は弱い』みたいな言い方です。」
「ジャパリパークが発展し、ヒトが来て我々の出る幕が減ったのです。」
「まあまあ、フレンズの中で唯一文字が読める存在ですし……」
「……そうなのです。我々は文字が読めるのです!賢いので。」
「そうですよ。我々は賢いので。」
でも……あまり会った事ないからどれくらい賢いかは分からないんだけど。
そして本を借りたいヒトは全員本を借りる事に成功。
私は『ジャパリパークの○○の魅力!<ジャングル地方>』を借りた。『ジャパリパークの○○の魅力!』シリーズの本はいっぱいあったけど、これからジャングル地方に行くならこれしかないでしょ!それに全部読めなくてもいざとなったらガイドさんやジャングル地方のフレンズに聞けばいいしね。
こうしてバスはまた出発した。私は早速本を読んだ。熱帯雨林の綺麗さや住んでいるフレンズの事がよく分かる。その隣でゴキブリが不思議そうに見ている。『フレンズは文字を理解出来ない』って本当だったのか……
いやー、本を読んでいると時間の流れが早くなるな。バスはあっという間に平原地方に着いてた。
「あ、ちょうど合戦をしてますね!」
合戦?戦っているのか?色々な疑問が頭の中を渦巻いたが、すぐに答えは教えてくれた。
「まあ『大将の風船が割れたチームが負け』という遊びみたいなものですけどね。サッカーもやってるみたいですし。」
全然危なくない、むしろ遊びのようなものだった。
ヒトの子供も遊んでいるし、さぞ楽しいのだろう。
「おっと!もうそろそろ夜ですね。ライオンさんチームとヘラジカさんチームも合戦をやめましたね。今日は寝ましょう!椅子の下に毛布がありますよ!」
「え!?もう夜?早くない?」
「まあバスが出たのが4、5時くらいだからね。」
「しごじ……?」
そうか……ゴキブリには難しいか。
「まあ簡単に言うとバスが出たのが夕方だからねって事。」
「成る程~!……ふわ~」
ゴキブリは夜行性なのにあっという間に寝てしまった。疲れたのかな?
明日、ついにジャングル地方に行ける。私も寝よう……
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