第4話 雪と水辺

「あ、ホシさん!」

「ミライさんがガイドで良かった~」

いよいよバスの時間。私はミライさんに事情を説明した。

「成る程~ゴキブリさんはもともと熱帯雨林の虫だったのですね!」

「うん。まちちほーはヒトがいっぱいいてやっぱり怖い……この体だからヒトの残飯食べなくて平気だし、私はじゃんぐるちほーに行くよ。」

「分かりました!ではバスに乗って下さい!」


私とゴキブリ、その他観光客やフレンズがバスに乗った。

ミライさんは一通り説明を終えた後、衝撃的な事を言った。


「このバスがジャングル地方に行くまで最低でも1回は睡眠を取るのでご注意下さい!」


ええ!?あれ、でも私とゴキブリ以外はみんな驚いてない……

もしかしてみんなフレンズだから襲われる心配とかそういうのはないとか?

まあ睡眠取っても平気なら遠慮なく寝ちゃうぞ!

「では、ジャングル地方行きのバス、出発!」

「「「イエーーーーイ!!!」」」


バスは地図にあった『ロッジ』の前を通った。

「こちらロッジとなっておりますが、今は必要ないので……」

そう言ってバスはロッジを通過した。


「なんか、寒いよ」

「大丈夫?」

「それもそのはず。バスは雪山地方を通りまーす!」

「えー!」

「寒いのが苦手なフレンズさんは、椅子の下に毛布があるのでそれを被って下さいね!」

「あああああああ……」

ゴキブリは言われてすぐ毛布を被った。ゴキブリは寒いのが苦手だから家に入ってくるのか……?


「あ!いましたいました!ギンギツネさんが雪に頭を突っ込んでますね。キツネは、雪の中の獲物の音を聞いて、ジャンプして頭を突っ込んで狩るのです!」

へー。勉強になるなー。知らなかった。

「じゃあ僕も……」


ピョーン


ズボッ


おお、すごいジャンプ!

黄色い娘……あの娘もキツネなのかな?

「では、次行ってみましょう!」


バスはすごいスピードで水辺地方に着いた。

「あ、PPPが泳いでます!」


ギュイーーーーン


「ジェーンさんは相変わらず速いですね~コウテイさんが見えないのは潜ってるからでしょうか?あ、フルルさんと泳いでいるのは……」

フレンズ化していないフンボルトペンギン……ってあれ?紫の腕輪って事は、外の世界で話題の!

「グレープさんですね!」

グ、グレープ君ってジャパリパークに行ったのか……良かった。

「うへへへへ~!」

「あ、マーゲイさんもいますね。相変わらずPPPがお好きなんですね~。私もPPP大好き……うへへへへ~!……あ、失敬!」

車内で少しだけ笑いが起こる。ミライさんは動物がすごく好きだからな……

「つ、次の地方まで行きましょう!」

「「「おーーーー!」」」



こうしてバスは走り出した。

目指すはゴキブリの住む熱帯雨林。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る