第3話 街を散歩

「……何ここ?」

「ジャパリパークの『街地方』だよ!」

ゴキブリが外に出た途端不満そうな表情をした。何故?

「つべこべ言わず行くよ!」

「……私の住む場所、ここじゃない。」

ええ!?なんでなんで!?だって……

「ゴキブリはヒトの家とかに住んでるんじゃないの!?」

「……私、本来は熱帯雨林に住んでいるの。」

「……そうだったの?」


でも熱帯雨林なんてどこに……取り敢えず地図を見てみる。

ここは海の隣だから……あった街地方。街地方から色んな地方に繋がっている。

ロッジ、雪山地方、水辺地方、森林地方、平原地方、湖畔、砂漠地方、ジャングル地方……あ、このジャングル地方とかピッタリじゃん!でも遠いな……

「ねえ、この箱ででも行けるんじゃない?歩かないのは楽だな~!」

「箱?あ!」

そこにはバスの絵が描かれていた。確かにこれなら楽に行ける。

「よし、早速バス乗り場に行こう!」


バス乗り場は少し歩いた所にあった。

「あの~ジャングル地方行きのバスってありますか?」

「ありますよー!時刻表を見ると分かります!」

そこには1分後に発車するジャングル地方行きがあったが、ガイドは知らないヒト。

一方で、10分後に発車するバスのガイドはミライさんだった。

「あー……私、ミライさんの友達なのでガイドはミライさんがいいかな……」

「分かりました!じゃあ8分後にここに来て下さいねー!」

「はい!」

っていうかバスいっぱいあったぞ。どんだけあんねん。


「……バスが発車するまで何処かで時間潰す?」

「ジャパリまん屋さん行きたい!」

「はいはい。じゃあ行くよ。」


「イラッシャイマセ」

「あ、店員さんラッキービーストだったんだ!」

「好キナジャパリマンジュウヲ選ンデ下サイ。」

「この前ミライさんがくれたのは何味?」

「確かあんこじゃない?」

「あんこ味ってどれ?」

「ピンク色ノデスヨ。」

前までラッキービーストはフレンズには話してなかったけど、最近はフレンズにも話すようになった、らしい。

「これ頂戴!」

「イイデスヨ。アリガトウゴザイマス。」

「ありがとー!」

お金払わなくて済むのはジャパリパークのいい所♪

争いを起こさない為にそうしたのか動物がお金を知らないからそうしたのかは不明だが、どちらにせよ楽なのには変わりない。

私が飼育員をやった理由は『フレンズと触れ合いたいから』だからお金なんて必要ないし……


「モグモグ 美味しい!」

「他にも味あるからねー。っていうかそろそろ8分経つかも!」

「じゃあ行こう!じゃんぐるちほーが楽しみ~」



『ジャングル地方』の言い方が少し幼かった。

そりゃそうか。ゴキブリだから。








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