第7話 Route:B

 明転


 死「どうして学校に行かないんだ!」

 男「死ぬってわかってて学校に行く奴はいません!」

 死「いや、何も言い返せないわ」

 男「でしょう?自然の摂理です」

 死「はいはい……どうする?お姉さんでも呼ぶ?(電話のモーション)」

 男「やーめーなーさーい」

 死「じゃあどうするんだよ」

 男「ごろごろします」

 死「もったいなぁ」

 男「暫くごろごろする暇なんて無かったんですよ」

 死「この間の休みにごろごろしてたじゃないか」

 男「それより前の話ですよ」

 死「ほー」

 男「予備情報とか調べないんですか」

 死「調べるよ?」

 男「じゃあ知ってるじゃないですか」

 死「そうね」

 男「……俺、なんで死ぬんですか」

 死「言えないね」

 男「例えば自殺の人がいるとするじゃないですか」

 死「うん」

 男「その人がデス子さんみたいな人に望みを叶えて貰ったら、満足して死ななくなったりしないんですか」

 死「無いね」

 男「別の理由で死ぬんですか?」

 死「ケースバイケースだよ」

 男「と、言うと?」

 死「例えば急性の病気で死ぬ人が居る」

 男「はい」

 死「死神はそれが発症してから死ぬまでの間に、スペースを作る。執行猶予みたいなもんで、その時間が無くなれば、その人は死ぬ」

 男「よくわかんないです」

 死「急に死ぬの可哀想だから、時間ねじ込んでやりたいことやらせてあげてんの」

 男「ふうん」

 死「ちなみに自殺する人間の望みを叶えてやることは無い」

 男「どうして?」

 死「自ら命を絶つ覚悟を決めた奴に水を差す権利は誰にもないのさ」

 男「そういうもんですか」

 死「そーゆーもんよ」

 男「俺は自殺じゃ無いんですね」

 死「あ、バレたか」

 男「それは天然ですか」

 死「どーだかねぇ」

 男「急に死ぬんですか」

 死「死神はね、急に死ぬ奴の願いしか叶えない」

 男「そう、ですか」

 死「怖くなった?」

 男「いや、ある意味理想じゃないですか、苦しまずに死ねるのって」

 死「デス子さん死なないからわからんけども、苦しいのは嫌だわな」

 男「眠るように死ねるならいいです」

 死「前向きだね」

 男「でも、死ぬ時一緒に居てください、怖いんで」

 死「まあ、頼まれなくてもそういうお仕事ですから?」

 男「可愛げのないこと言いましたね」

 死「すいませんね」


 暗転

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