第6話 Route:B
サス
男「逃げられた。探し回って、見つからなくて、家に帰るといい匂いがした」
明転
男「デス子さーん?いるんでしょー?」
男「デス子さーん」
死神、隠れる場所がなく頭を抱えてうずくまる
男「デ」
男「いや、それは無理だろう」
死「やっぱり?」
男「どこにいたんですか、探したのに」
死「だって居づらいだろ?」
男「思ったより可愛い反応でキュンと来ました」
死「な、お前、弱みを見つけたと思ってからにっ……サドか、お前なんかよりマルキ・ド・サドの方がよっぽどヘンタイなんだからなっ」
男「えっ、何、俺怒られてる?そんな語源の人間と比べられても勝てるわけないって言うか勝っても嬉しくないわ」
死「大体!出会って5日の死神の、どこが好きだってんだ」
男「人との繋がりは長さじゃ無くて深さなんじゃなかったですか?」
死「わーーーきーこーえーなーーーい」
男「ご飯が美味しかったからです」
死「……は?」
男「作ってくれるご飯が美味しいからです。それだけじゃ駄目ですか」
死「……何胃袋掴まれてんだよ、お前さんは」
男「嫌ならもうご飯作らないでください」
死「それは出来ない」
男「どうしてですか」
死「……言えない」
男「ずるくないですか、それは」
死「そんなことは――」
男「ありますよね、好きでいてくれって言われてるようにしか思えないです、俺には」
死「違う!」
男「エゴですよ、気持ちには応えないのに、好きでいてくれなんて」
死「……人間が死ぬ時、何を考えるか知ってるか」
男「……楽しかったこととかですか」
死「大半が、食事の事だ」
男「食事……」
死「『あれが美味かった』『これが好きだった』『あの料理屋ではあれを食べた』ってな」
死「最期までコンビニとか適当な外食で食事を済ませるの、嫌じゃないか。だから、少しでも思い残すことなく死んでもらう為に料理をしてきた」
死「お前にも、健やかに死んでもらわなくちゃいけない」
死「食べ終わったら皿洗っときな」
男「どこ行くんですか」
死「散歩」
死神、ハケる
男「ほんとずるいです」
男「もっと好きになるじゃないですか」
暗転
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