第5話 End:A

明転

そーっと近づいて抱きしめるできるだけ見えないように反対の手に花


男「いた 」

死「っ……離して」

男「見つけるの時間かかっちゃった、ごめんね」

死「探せなんて言ってない」

男「そっちじゃないよ」


彼岸花を耳にかける

死神、恐る恐る花を抜いて男を見る


男「アネモネ、また会えた」

死「……遅い!」

男「えぇ?気づいてたの?気づいてたなら教えてくれればいいのに」

死「思い出すって言うから待ってたのに」

男「君、随分と怒りっぽくなってないかい?」

死「待ってたのに、名前なんか聞くからまた違う人だと思った……」

男「それにしたって、デス子さんは酷いと思うんだけどなぁ」

死「思いつかなかったんだ」

男「君は昔から面白い子だった」


男笑う


死「……笑わないでよ」


死神も笑う


男「『死ぬまで、一緒にいてくれるだろう?』」

死「……はい」

男「駆け落ちでもしようか」

死「ははは、どうやって?」

男「俺の魂を君が持って逃げる」

死「ふっ……ばーか」

男「やっぱり、君キャラ変わったよねぇ」

死「色々あったんですぅ、どっかの誰かさんが死んじゃったもんで」

男「すいませんねぇ」

死「……嫌いになった?」

男「まさか」


2人笑う

フェーダーで暗転


男「この3日後、俺は死にました。でも、彼女の上司が、ね。ボーナスだって。まあ、あれですよ、俺、ジョブチェンジ?人間から、死神に」


男「二人暮しの家に帰ると、今日も彼女が美味しいご飯を作って待っている」

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