第2話
サス
死「それではここで、この3日間をダイジェストでご覧頂きましょう」
死「まず1日目。彼のベッドの下のDVDのラインナップを見て、好みそうな女の子を隣に座らせてみました」
明転
女1「じーーーーーーーーーーー」
男「……?」
女1「じーーーーーーーーー」
男「……あ、あの、何か……?」
女1「ぽっ」
男「あ、はぁ」
女1「あの、この後――」
男「あ、あはははははすいません次のコマも取ってるんで――」
男「――じゃ!」
サス
死「何!なんで逃げた?!好みだろうああいう女の子!」
男「無理!初対面で視線が痛い!怖い!」
死「だって男はじっと見つめられると俺のこと好きかもって思うって本に書いてあったんだもん!」
男「あんなに見られたら怖いわ!穴が開くわ!……大体、なんでああいう子が好みだと思ったんですか」
死「ベッドの下のDVDで傾向を掴みました?」
男「だああああああ?!見たの?!やめて……」
死「大丈夫だって、人の趣味は否定しないことにしてるから」
男「何のフォローですか、それ……もう殺してください……」
死「そりゃあできない相談だ、明日は別の策にするから、スーパー寄って帰るぞー」
男「はぁ……」
サス
死「さて2日目、次は少女漫画のようにしてみた」
明転
男「……今日は何が起こるんですか?」
死「楽しみか〜?楽しみだろ〜?」
男「腹立つわ……」
死「ほら、よそ見してると来るぞ〜!」
男「えっ?ちょっとどこ行くんですかっ」
死「高みの見物っ!ほい!(指パッチン)」
男「はい?どういう――」
女達走ってくる
男「えっ、えぇっ、えええっ?!」
女2「あの!これ!受け取ってください!」
女3「私も!これ!」
女4「あの、好きです!」
女5「私じゃダメって分かってます、なので、1回、1回だけ!」
男「1回だけ、何?」
女5「抱――」
男「わーーーーーーーーっ」
男逃げる、女追う
男「ダメだってーー!!」
女達「待ってーーーー」
男「自分を大切にしなさーーーーい!」
男ハケ、女達もハケ
サス
死「なぜダメだ、言い寄られて悪い気はしないだろう?」
男「デス子さんが言わせてるから、言葉が直接的すぎるんですよ」
死「回りくどいと分からんだろう君は」
男「限度ってもんがあるでしょうが」
死「あーはいはい、そうですねー」
男「大体、出会ってすぐ詰め寄られて好きになれる訳ないでしょう?」
死「いいか、人との繋がりは、長さじゃない、深さだ!」
男「もう……今日の夕飯はハンバーグがいいです」
死「……はいはい、スーパー行くよ」
死神「そして3日目。趣きを変えてみた」
明転
男「今日は何なんだ……」
男2「よう、おはよう」
男「あぁ、おはよ」
男2「何、なんかお疲れなの」
男「まあ、ちょっとな」
男2「お前も大変だな」
男「お、おう」
男2「俺にも、出来ることがあったら言ってくれよ?」
男「ありがとう……なんかさ、お前」
男2「ん?」
男「今日、近くないか」
男2「そんなことないだろ」
男「いや、そんなことあるだろ」
男2「……実は俺さ、お前のこと好きなんだよ」
男「……えっ?」
男2「だから、俺、お前の事」
ちゅーしようとするなり押し倒すなりすればいいよ
男「待て待て待て待て!」
男2「大丈夫、怖くない」
男「怖いよ!俺はお前のことは友達としか見られない!」
男2「……ごめん」
男「悪いけど、気持ちだけありがとう」
男2「……うん」
サス
男「……どういうことですか」
死「いやあ、もう女の子がダメなのかなってさ、河岸を変えるっていうの?」
男「そのジョブチェンジいりませんから。あいつ彼女居るし、マジで凹んでたじゃないですか」
死「……ごめんなさい、やりすぎました」
男「はい」
死「彼の記憶は、消しておくから、今日も君と普通に楽しい一日を過ごしたことにしておく」
男「……はい」
暗転
サス
男「何か違う、と思いながらも、俺の余命は過ぎていく。相も変わらず美味い飯を食べる俺と、それを眺めるデス子さんの構図も3日目に突入した」
明転
男「美味いです」
死「当然だね」
男「そうですね」
死「なんだい、そんなに落ち着いちゃって……まだ怒ってるのかい」
男「もう怒ってませんけど、考え事してたんですよ」
死「ほー?」
男「デス子さん」
死「何よ」
男「デス子さんは恋しないんですか」
死「忙しいんだよ、死神ってのは。毎日15万は死人が出てる。恋なんてしてる場合じゃないのさ」
男「それでも1回くらい恋したことは――」
死「ない!……ないよ」
男「……へぇ」
死「ほら、今流行ってんだろう?キャリアウーマンつってな」
男「もう流行ってないですけどね」
死「人間の流行ってのは速くてわからん」
男「そういうもんですか」
死「死神の間でもローブみたいなのが流行ってたけどな、それだって100年くらいしか持たなかった」
男「100年なら長いんじゃないですか」
死「いや、ファッション誌のワンシーズンくらいなもんだ」
男「定着しないってことですか」
死「その通り、時の流れが違うのさ」
サス
男「彼女が何を思い出したのか、この時はまだわかりませんでした」
暗転
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