傷を早くキレイに治したいな(高機能絆創膏のお話)

 ちょっとした切り傷、すり傷にぺたっと貼っておく絆創膏ばんそうこう

 時代と共に進化を遂げ、今は傷の治りが綺麗で早くなる製品が販売されています。


「知っているけれど使ったことはないんだよね。高いからさ」


 なかなかいいお値段なのがネックなんですよね……それでも結構売れているんですよ、実際のところ。パッケージのうたい文句に偽りはないようです。


 今回は馴染みがない方へのご紹介も兼ねて、高機能絆創膏のお話をしましょう。



 綺麗に早く治るとは、一体どういうことなのか?

 通常タイプの絆創膏と高機能タイプの違いについてご説明する前に、傷はどうやって治るのかを、お話しなければなりません。


「自然治癒ってやつでしょ。勝手に治るんだから、理屈とかどうでもいいって」


 そう言わずに。いきなり二つの違いを述べても、ピンと来ないと思うので……暇つぶし感覚で聞いてください。ほら、フルーツゼリーを差し上げますから。


 仕切り直して。指先を切ったと仮定しましょう。

 傷ができると血管が切れて出血します。血が噴き出すとき、勢いで中の病原菌やゴミを排出してくれます。

 そのあと血が固まって、かさぶたとなり、内部で皮膚が再生していくのです。


 かさぶたは傷口を閉じて、ばい菌の侵入や、水分が出ていくのを防いでくれます。

 文字通り、ふたの役割を果たすのです……が、一方で良くない影響も。


 傷口が圧迫されると、血管の再生や傷口の収縮が妨げられ、治りが遅くなります。表面に跡が残るのも、原因はかさぶただったりするんですね。


「ならかさぶたは剥がすに限りますな! ぺりっと……うぁ、血が」


 外見では治っているようでも、かさぶたの下では修復が続いているんです。ぺりっとしたい衝動を抑え、自然に剥がれ落ちるまで触れずにおきましょう。


「あったらあったで治りが遅くなるって言ったじゃないか、どうしろってんだ!」

「矛盾を突きつけて困惑させるなんて、この人でなし!」

「かさぶたを剥がすことだけが人生の楽しみなんだ! 生き甲斐を奪うな!」


 バッシングの嵐⁉ あと、最後の方は代わりになる趣味を見つけてください!


 傷は空気に当てて乾かした方がいい——かさぶたを作る、昔ながらの治療法を『乾燥療法ドライヒーリング』と言います。


 ところがある日、こんな研究結果が。

 「出血と共に出てくる体液には、傷を修復する因子が含まれている。だから、乾かすよりも、傷口に体液を留めた方が早く治る」

 発見されたのは50年以上も前。専門知識の一般化は時間がかかるものなんです。


 かさぶたを作らないように適度な潤いを保持して治癒を行う——『湿潤療法モイストヒーリング』の考えに基づいたのが、高機能タイプの絆創膏。

 だから治りも早いし、傷口も綺麗にふさがるのです。



「ようするに、この絆創膏を貼っておけば、傷をなかったことにできるのね!」


 通常タイプよりは、たしかに綺麗に治ります。個人差はありますけれど。

 しかし、高機能タイプを効果的に使うために、気をつける点があります。各メーカーによっても異なるので、共通する部分をピックアップしてお話しましょう。


 傷口に蓋をしないように治癒するので、すでにかさぶたが出来ていたり、乾いている傷には効果がありません。体液を利用できないからです。

 使用できるのは軽い擦り傷、切り傷に軽いやけどなど。虫刺されやニキビは感染の可能性があるため、使用しないでください。


 化膿が不安な方は消毒をするかもしれませんが、高機能タイプを使う場合、消毒薬を使った後は洗い流してください。治癒組織の働きを妨げる可能性があるためです。


 貼り替えの頻度は2~3日、もしくは剥がれてきたとき。

 高機能タイプは、通常タイプの約3倍の粘着力を有しています。勢いよく剥がすと傷口までべりべりーっ! と二次被害が発生するので、ゆっくり剥がしましょう。

 ぬるま湯などを流し込みながら行うのも、一つの手段です。


「俺、昨日から貼ってるんだけど……中がかゆくって……かきたいぃ!」


 密閉性が高いので、蒸れてしまうんですね。そういうときも一度剥がして、綺麗にしてから貼り直してみてください。軽減されると思いますよ。


 詳しい使用方法は付属の説明書に記載されていますので、ご安心を。

 手間がかかりそうですが、貼ってしまえば、通常タイプの使い方とほとんど変わりありません。機会があれば、気軽に使ってみてください。

 


「ボク、サッカーでよく擦りむくんですけど、絆創膏サイズじゃ小っちゃいんです」


 ひじやひざの怪我なんかは絆創膏じゃ足りないですよね。販売メーカーは限られますが、大きめの傷当てパットタイプもあります。こちらに関しては絆創膏とは違う素材が使われているので、注意点も異なります。


 例えば、傷当てパットタイプは消毒薬を使っても洗い流す必要がありません。化膿が心配な方は使いましょう。粘着力は通常の約半分なので傷口にも優しく、通気性がいいので蒸れる心配も少ないです。


 乾燥状態の傷に貼っても効果は出ません。さらに化膿してうみが出ている場合も使えません。傷口にばい菌が入ってしまうからです。この場合は高機能製品を使わずに、化膿治療薬を使いましょう。


 誰しも怪我はしたくないし、傷は残したくないもの。

 綺麗なお肌に戻したいと思ったら、一度試してみてくださいませ。

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