ジメジメから室内を守って(除湿剤のお話)
日本の夏季は高温多湿。肌にまとわりつくような湿気が、息をするだけで体力を奪っていくようです。さらにカビ繁殖の原因にもなって、室内をも浸食し始めます。
いつの間にか押し入れの壁や布団に黒い点々が……それ、カビかもしれません。
悪いカビを吸い込んでしまうと、肺や気管支の病気を引き起こす恐れがあります。適度な湿度を保って、健康な生活を送りましょう。
というわけで、今回は除湿剤のお話をします。
「なーんか今回は地味な話だなあ。除湿ってそんなに大切っすかねぇ?」
室内で発生するカビは百害あって一利なしです。さらに高い湿度はダニや、あの最凶種族『G』の繁殖に絶好の環境。
もしも、布団や洋服をしまってある押し入れが『G』の住処になっている……そう考えたら恐怖で夜も眠れません。安眠のためにも、湿度管理は重要なのです。
そこで活躍するのが除湿剤。様々な形がありますが、どれも設置した空間の湿気を取り除いてくれます。
お店では夏に限らず、一年中売れている定番の生活雑貨ですよ。
「除湿剤って、ようは乾燥剤でしょ。なんで言い方が違うの?」
それは用途が異なるからです。
乾燥剤は品質低下を防ぐために湿気を取り除くもので、カラッカラに乾燥してくれます。
おせんべいなどのお菓子に入っている「食べられません」の袋でお馴染みですね。
対して除湿剤は、空間内の過剰な湿気を取り除くことが目的です。
湿度が高いとどんどん吸い取りますが、低ければ現状維持。実は優れた技術が使われているのです。
「過剰な湿気とはどのくらいだ……322? しょせん俺の敵じゃないな」
その
湿度とは、空間内の空気が含む水蒸気の度合いです。最大値と実際の量との比較なので、単位はパーセントですよ。
中学校の理科で習いましたね。懐かしい。
製品で異なりますが、大体の除湿剤は湿度を40%に保つように作られています。
ちなみに快適な生活湿度は40~60%とのこと。これ以上ならカビや害虫が発生し、低いとインフルエンザなどのウイルスが活発化します。
春や秋が過ごしやすいと感じるのは、湿度の関係もあるのでしょう。
「うちは押し入れに除湿剤置いてる。水が溜まると吸い取ってるなーって思うよ」
みなさんも容器に水が溜まっていく形を思い浮かべるでしょうか。これは貯水タイプの除湿剤。湿気を吸い取っている実感が得やすく、取り換え時期も分かりやすいのが特徴です。
知らぬ間に増える水が、子供の頃は不思議で面白かったな。純真でした。
容器の中に入っている粒は「塩化カルシウム」です。これは水分を吸収すると液体化するもので、とうふを固めるにがりなどにも含まれています。また、雪の多い地域では道路に撒くことで、氷を溶かしてくれたりと、様々な用途に使えるすぐれもの。
「へー、じゃあ飲めるんだ」
飲めるわけないでしょう! 触るのもダメ、絶対!
安全性は高めですが、濃度の高い水溶液は人体に毒です。処分の際には気をつけましょう。
シート状になった保水タイプの除湿剤もあります。衣類をしまうときに乗せたり、クローゼットに吊り下げたりする形が多いですね。場所を取らないのが特徴です。
どちらのタイプも閉め切った狭い空間で効果を発揮します。風通しの良い場所においても、湿気は吸い取りますが湿度は下がらないので注意してください。
使用後の処分については、保湿タイプならそのままゴミへ。貯水タイプなら水を流しながら排水溝に流してください。中の水だけを流すと、金属を腐食させてしまいます。べたつきもあるので、きちんと洗い流しましょう。
「はーい。じゃばばばー……ぎゃっ! 中の水が服に飛んだ!」
あらら。塩化カルシウムを落とす薬剤や洗剤はないんですよ。
水やぬるま湯などで漬けおきして、べたつきがなくなるまで洗ってください。
このように、衣服に付着しても面倒です。処分には気をつけましょう(二回目)
除湿剤は正しく使うことで、効果を発揮します。
使用の際は設置場所を密閉すること。厳密にではなく、クローゼットなら扉を開けっぱなしにしない、程度の注意で問題ありません。
湿気は下に溜まるので、なるべく床に近い場所に置きましょう。また、場所の広さに対して、多くても少なくても効果が得られません。説明書きを読んで、適切な量を設置しましょう。
除湿剤を利用すれば、収納してあるお気に入りの衣服も長持ちします。衣替えなどの際に上手く利用しましょう。それではまた次回……。
「せっかくだし服のしまい方も教えてくださいよ。まだ文字数に余裕あるでしょ?」
あの、右下の文字数表示を見ながら説明を求めないでくれませんか? たまには短く終わろうと思ったのに……。
では最後にちょこっとだけ、収納のポイントもお話しましょう。
衣替えなどで衣類をしまうときは、晴れていて乾燥している日が好ましいです。
時間帯にもこだわるなら、特に乾燥する午後10時から午後2時が最適でしょう。
クリーニングに出して戻ってくる衣類って、ビニールカバーがついてますよね。
ホコリ避けにちょうどいいから被せたまましまっておこう……というのは、実は間違い。
そのままにしておくと、湿気がこもってカビの原因になります。外しましょう。
除湿剤に虫食いを防ぐ成分は含まれていません。長期収納には防虫剤を併用しましょう。二つの成分はぶつかることがないので、一緒に使っていただいて問題ありません。
こんなところでしょうか。
八月も折り返しました。過ごしやすい季節の到来を待ち望みながら、体と衣服に優しい生活を送りましょう。
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