第3話 残念な美少女達

教室へ入ると何やら盛り上がっている。

「よっ、霧宮」

茶髪の男子が話しかけて来た。

「あ、うん。おはよう、、えっと、誰だっけ?」

「隣の席の相沢映司、よろしくな」

「あ、ああ。それでなんで騒がしいんだ?」

「ん、あー、お前転校して来たばっかだから知らないのか。鳴神体育祭が三週間後にあるから競技に誰が出るか決めてるんだよ。今日はそれを決めて練習って感じだな」

「へぇ、どんなのがあるんだ?」

「男女混合リレー、借り物競走、障害物競走、100m走、騎馬戦、棒倒しだな、、」

「お前はどうすんだ?」

「じゃぁ、、」

「霧宮くん、ごめんね。男女混合リレーお願い」

「わ、わかった」

「すまん、昨日言えばよかったな」

「いや、いいよ。特にやりたい競技も別にないし」

自分の席に座る。


放課後、綾羽に呼ばれエレナと一緒に寮の前に帰ってきた。

「悠ちゃん、新しい寮の仲間連れて来たよ〜」

と綾羽が女の子二人を連れて走って来た。

「誘拐はだめだろ、綾羽」

「そうよ、鈴山。いくら寮生が少ないからって誘拐は感心しないわ」

「ち、違うよっ。二人とも誘ったら喜んで入ってくれるって言ったから連れて来たんだよ〜」

「そ、そうなのですっ。私は鳴神芽亜李です。よろしくなのですっ、霧宮くん」

「僕は高坂璃世よろしくね、霧宮くん」

「よ、よろしく、二人とも僕のこと知ってるの?」

「噂で聞きましたなのです」

「確か転校初日から銀髪の少女と付き合ってるとかなんとか」

「ち、違うわよっ。悠里とはたまたま同じクラスの隣の席だっだけ、、」

「やっぱり二人は付き合ってたんだ、、同じ残念な美少女だとおもってたのにぃ、、」

「誰が残念な美少女かっ!てか、あんたは自覚あるのね」

「と、とりあえず、僕とエレナは付き合ってないから」

「でも、憧れるよ。女の子にモテモテだし僕も君みたいになりたい」

「僕はモテてないよ」

「はぁ、男子一人に対して女子五人って、いよいよ危ないわね」

「エレナは一体僕をどんな人間だとおもってるんだよ。あと、男子は二人女子四人だから」

「え、、?だって、高坂さんは、、」

「悠ちゃん、すごぉい。そうだよ、璃世ちゃんは男の娘」

「あ、うん、、」

「それと男の子は男の子でも男に娘と書いて男の娘だから」

「その補足はいらないから」

「霧宮くん、えっと、その、悠くんと呼んでいいですかなのですっ!」

「う、うん、べ、別にいいけど、、」

「では、悠くんは私を芽亜李と呼んでくださいなのですっ」

「わかったよ、芽亜李、、っ!」

隣にいたエレナに足を踏まれ、本人を見ると睨まれていた。

「僕も悠里くんって呼んでいいかな?」

「いいよ」

「ば、僕のことは璃世って呼んでくれると嬉しいな」

「あっ、うん」

「うんうん、悠ちゃん、エレナちゃんと付き合うのもいいけど他の子とも仲良くしないとだめだよ?」

「「だから付き合ってないっ!」」

「もう照れ屋さんなんだからぁっ」

((これはもう、だめだ))

二人して呆れて何も言えない。

「なんだ、騒がしいと思ったら新しい友達かい?悠里くん」

「はい」

「ボクは嬉しいよ、君に友達ができるのはっ」

一条先輩が僕の頭を豊満に育った胸に押し付けてきた。

「んぐっ」

「「「「なっ⁉︎」」」」

「なんだい?」

「皐月っ!、貴女という人はっ!」

隣にいたモデルみたいにスタイルのいい金髪の美少女が顔を真っ赤にして一条を怒る。

「すまない、すまない。以後気をつけるよ」

「では行きますよ。まだ体育祭の準備できてないんですから。霧宮悠里、図に乗らないでください」

去り際に睨みつけられた。

「あれ一条先輩の隣にいた人に僕はなんか悪いかと言ったかな?」

「そんなことないよ、あの人一条先輩の幼馴染みで生徒会長の紫峰院千冬。超がつくほどの男嫌いのお嬢様だよ」

「そっか、じゃあ僕が嫌われるようなこと言ったわけじゃないのか」

「明日休みだしみんなで体育祭の練習しよ?」

「いいけど、みんなは?」

「僕も大丈夫かな」

「私も大丈夫なのですっ」

「これで決まり、明日の休みはみんなで体育祭の練習ね」

「なっ、私に拒否権ないの⁉︎」

「参加しなくてもいいけどみんなが納得できる理由?」

「う、うん。明日は録画してたアニメを見る」

「なんでその理由で練習休めるとおもってんだよ」

「立派な理由よ」

「「「「どこがっ⁉︎」」」」


目を覚まして、時計を見るとまだ3時だった。

ベランダをのぞいて見ると一条先輩がいた。

「風邪ひきますよ、紫峰院先輩」

「ありがとう、霧宮くん」

先輩に毛布を掛け、ホットアップルティーを渡す。

「どうかしたんですか?」

「さっきのはごめんなさい。貴方は私と関わるべきじゃない。貴方があの事件の被害者なら、ね」

「?、どういうことですか?」

「私の父、紫峰院涼夜はそのホテルの経営者だったの、、きっと娘である私の責任だから」

「・・・、それは違います。友人も家族も守れなかったのは全部自分の無力さ故のことです、、それに罰を受けるのも責任を負うのも先輩じゃありませんから」

「ありがとう」

「いえ」

「霧宮くんには話しておきたいの。私が男嫌いになった理由、、。私には昔仲良かった友達がいたの。今まで私は紫峰院って名前だけで避けられてたでもその子はそんな私を友達だって言っていつも誘ってくれた、、でも、ある日を境にその子が遊びに来ることは無かった、、それ以来あの子以外の男子と関わることがなかった。結局みんな紫峰院の娘としての私しか見てくれなかった紫峰院千冬を見てくれなかった」

「でも、この寮にいる人たちはみんな先輩を紫峰院の娘としてじゃなくて一人の紫峰院千冬を見てくれてると思いますよ」

「そう、ね」

「そうなのですっ!」

「そうですよ、会長っ」

「彼の言うとおりだよ、千冬」

狙ってたのか丁度いいタイミングでみんなが入ってきた。

一方その頃、エレナは、、。

「ゆずりん、、」

寝言を言っていた。


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