第2話 新たなスタート
目を開けると見知らぬ部屋のベットに寝かされていた。
「確か僕は、、」
椅子の上でエレナが気持ちよさそうに寝ている
「ふぁ、、お、起きてたのっ⁉︎。起きてたなら起こしてよっ」
「いや、気持ちよさそうに寝てたから」
「体は大丈夫?」
「うん、少し痛むけど」
「もうあんな無茶しないでっ!何があったかは知らないけどものすごく心配したんだからっ!」
「ごめん、、」
「それでなんであ、あんなことしたの?」
エレナが少し頰を染める。
「君になら言っても大丈夫か、な、、信じてもらえないかもしれないけど僕には他人の未来を見れたり人の心が手に取るように分かってしまうんだ」
「事故の後遺症?」
「多分ね。さっきのは君の体にガラスの破片が突き刺さって死んでしまう未来を見てしまったんだ。ちょっと乱暴になってしまったのはごめん」
「事情は分かった。その上で約束して次からは私に一度相談して行動する」
「約束するよ」
「悠ちゃんが女の子を連れ込んでる、、、」
「綾羽?」
「久しぶり、悠ちゃんっ!」
むぎゅっと綾羽が僕に抱きついて、頭部を大きく育った胸に押し込む。
「く、くるひぃ」
「鈴山っ、傷を開かせるつもりっ?」
「ま・さ・か、、一国の姫が妬いてるんですかぁ?」
「う、が、、な、な訳ないでしょっ」
二人の間に火花が散る。
「一国の姫?」
「知らないの?彼女はアルフォシア王国第三王女だよ?王女様なんだよ?」
「二回も言わなくていい。さっきから聞こうと思ってたんだけどここは?」
「聖光寮よ、まだ私と鈴山、もう一人いるんだけど、、」
「じゃ、僕はこの辺で、、」
「何言ってんの?あんたも今日からこの寮よ」
「はっ?だってここ女子寮でしょ?」
「いくらあんたが怪我人だからって女子寮なら許可おりないわよ」
「?」
「寮は全部埋まってるから唯一空いているのがここだけなの」
「でも、女子と男子が同じ屋根の下って教育上いいの?」
「仕方ないでしょ」
「ただいま〜」
玄関の方から声が聞こえた。
「さっちゃん、お帰り〜」
「あやっち、そこの空き部屋電気ついてるけど誰かいるの?」
「いるよ〜。出てきて、悠ちゃん」
部屋をエレナと一緒に出る。
「ん、君見ない顔だね」
「初めまして、今日転校してきた二年の霧宮悠里です」
「転校生か、ボクは三年の一条皐月。よろしく、霧宮君。あと、一人称はボクだけど一応女子だからね」
「は、はぁ」
「さて、私はご飯作りに、、」
「あ、綾羽、君が作るべきじゃない」
「え?なんで〜?」
「う、、それは、、」
「そうなんだ、誰にも食べて欲しくないくらい美味しいんだ」
鼻唄を口ずさんでキッチンへ消えていく。
「違うんだけど、、」
「今までは私が作ってたから知らなかったけど、あの子の料理ってそんなにやばいの?」
「やばいとかそういうレベルじゃない。ある意味人を殺す凶器だよ」
「へ、へぇ」
「じゃ、ボクは卒業考査の勉強しないといけないから失礼するよ」
「これで二人きりね。さっきの話だけどあんたが未来を見ることができるって言ってたけど」
「うん。僕がガラス刺さったけど僕の未来視では君の全身にガラスの破片が突き刺さり死んだんだ」
「ほんと、信じがたい話ね」
「まぁ、僕も最初は全く信じてなかったよ。けど、何度も見ていくうちに信じれるようになった」
「未来、かぁ、、今私の未来ってみれるの?」
「うん、まあ、基本的に大丈夫」
目を閉じて意識を集中させる。
少女が亡骸を抱き抱え、俯く。
二人の顔はモザイクのようなものがかかり見えない。
「どうだった?」
「ん、ああ、し、幸せそうだったよ」
「むぅ、また私差し置いてイチャついてる」
「「イチャついてないっ!」」
「もぅ、イチャつくなら私も入れてよ、悠ちゃん、エレナちゃん」
「なんでだよっ、そもそもイチャついてないっ!」
「ま、いっか。じゃあご飯作ってくるね」
「まだ作ってなかったのかっ」
「会話が気になって、、てへっ」
キッチンへ戻ろうとする。
「そ、それなら好都合。つ、積もった話もあるし、、え、エレナ、ご飯頼む」
エレナに小さな声で頼んだ。
「無事だったんだねっ。悠ちゃんが入院したって聞いたからものすごく心配だったの」
「あ、うん。ユリ姉はまだ、、だけど」
「悠ちゃんって一人っ子でしょ?」
「え?、何言って、僕の双子の、、いやごめん、なんでもない」
洗面台へ駆け込む。
(なにがどうなって、、)
姉の顔を思い出そうとするが思い出せない。
『私はいつだって悠里の味方だから』
ヒビが入ったロケットを開き、中に入っている破れた写真を見る。
(ユリ姉、、、)
「悠里、ご飯できたってさっきから言ってるんだけど?」
「あ、ごめん」
リビングへ行くと美味しそうな料理が並んでいた。
「さすが、エレナちゃん」
「ほんとに料理できるんだな」
「当たり前よ」
「偏見かもしれないけど姫っていうからてっきり料理はできないのかと、、」
「偏見ね。私は箱入り娘じゃないから」
「悠ちゃん、食べさせてあげる。はい、あーん」
綾羽が自身のご飯を箸で掴むと僕の口元まで持ってきた。
「子供じゃないんだし、自分で食べれるよ」
「嫌だよね?ご、ごめんね、悠ちゃん」
部屋の隅に座り込む。
「わ、わかった。一回だけなら」
「ほんとっ?」
「う、うん」
にぱぁと笑顔になり、嬉しそうに僕の口にご飯を入れる。
「はぁ、、。バカップルか、あんた達二人は」
「羨ましいならエレナちゃんもいいんだよ?」
「誰が入るかっ!」
「もうっ、素直じゃないんだからぁ」
「あんた達もさっさと食べ終わりなさいよ。悠里あんたにちょっと話がある風呂入ったら私の部屋に来て」
「あ、うん」
エレナは食器を洗うと部屋へ戻っていった。
ご飯を食べ終わって風呂から上がり、エレナの部屋に行く。
「来たぞ」
扉をノックする。
「入って」
中に入るとぬいぐるみがいっぱいあった。
「こんな趣味があったとは」
「うっさいっ」
可愛らしい熊のぬいぐるみを投げつけられた。
「ところで話って?」
「うん、あんたは私に本当のことを打ち明けてくれたから私も打ち明けるわ。私には従姉妹に双子の姉弟がいたわ。でも、三年前プリンセスホテルの事件に巻き込まれて行方不明になって、、だ、だから同情ってわけじゃないけど協力してあげたいと思ったの」
「ごめん、、」
「なんであんたが謝るの?」
「つい、、」
「あんたが悔やむ必要も、人一倍の責任を背負う必要なんかない」
「・・・、久しぶりだ」
「え?」
「久しぶりだよ、そんなこと言われたの。あの事件以来言われることが無かったから」
「わ、私そろそろ眠たくなってきたから部屋帰って」
「うん、おやすみ。エレナ」
悠里が部屋を出て行く。
「私何いってるんだろ、、」
枕に赤くなった顔を押し付ける。
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