未熟な僕と優しい彼女たち

千神華夜

第1章 探し求めた答え

第1話 失った居場所

僕はある事件以来正夢、未来視そして人の心が見えるようになった。

 例えば人の死ぬ姿、不幸の結末、幸福、恋愛様々。

 でもそれを自分で抑えることはできない。

 だがそれ故自分自身に幸せが降ってくることは決してない。


 六年前―。

 イギリスにて、、。

「良太ぁ、友達と遊んできたら?」

「僕に友達なんていないよ」

「作りもしないで諦めないのっ」

 良太と呼べれた少年の額を少女がでこピンした。

「あぅ、、僕なんかと一緒にいてもいいことなんて」

「そんなことないよ、だって私は良太といれるだけで幸せよ」

「姉さん、、」


 プリンセスホテル事件から六年の歳月が経った。

「今日からこの学園に入る新しい仲間を紹介するね」

 先生に呼ばれ、黒板の前に立つ。

「初めまして、僕は霧宮悠里です。よろしく」

「じゃぁ、席はエレナさんの隣ね」

「は、はい」

 先生に支持された銀髪の女の子の隣席へ座る。

「よろしく」

「ああ」


 昼休みになると机の周りをクラスメイトに囲まれた。

「霧宮くんって帰国子女なんだよね」

「・・・、友達になるつもりはないよ」

「そんなぁ」

 話しかけてきたクラスメイトの女子が落ち込んだ。

「霧宮くん、どこに?」

 屋上への階段をゆっくりのぼり入ると結構な景色だった。

(久しぶりだ、こんなにゆったりできたのは)

『あれ呪われた子供だろ』

『あいつが犯人と共謀したって噂だぜ?』

 頭に六年前の出来事がよぎった。

「はぁはぁ、やめてくれ」

 瓶に入った錠剤を飲む。

「ここにいたみたいね」

「あんたは確か」

「東條・フィ・エレナ・アルフェシアよ、改めてよろしく。悠里」

「いきなり下の名前」

「せ、折角、未婚の女性が下の名前で呼んであげたんだからあんたも私のことをエレナって呼びなさい」

「ごめん。エレナ、それで僕に何の用だ」

「あんた、なんでクラスメイトにあんな自身から引き離すようなこと言ったの?」

「・・・、君に言う必要はない」

「友達に隠し事はなしよ?」

「・・・、こんな呪われた僕と一緒にいればだれかが不幸になる」

「六年前にイギリスの三ツ星ホテル”プリンセス”で起きた事件のこと?」

「知ってたんだね、、。そうだよ、従業員、客そして犯人含め総勢数百人という命が無残に散ったが一人だけ奇跡的に生きていた少年がいた、、。でもその先に安息の地はなかった、親戚からは縁を切られ、家はいつも報道陣でたくさんネットでは批判、、だから気づいた自分が幸せになることは決して許されない故に僕はほかの人の、、」

「不幸を一人ですべて引き受けるの?」

「ごめん、それが僕なりの罪滅ぼしと償いだよ」

「・・・、私は悠里と出会ったことが不幸だなんて思ってないわ。もうそんな自分で自分を責め続けるのはやめなさい。折角生き残ったのなら亡くなってしまった人たちの分まで精一杯生きるのが償いよ」

「君は強いね、僕とは大違いだ」

「あんたは怖いんでしょ?誰かにまた裏切られるのが」

「そう、だね。きっと誰かと一緒になれば裏切られるだから、関わりたくない。結局逃げてるだけってことは自他共に認めてるんだけどね」

「あまりにも可哀想だから哀れな仔羊に協力してあげるわ」

「協力?」

「そっ、協力。あんたが友達出来るようにね」

「はは、うちの姉さんみたいだよ」

「はぁ、それ自分で言って辛いなら言わないで。見てるこっちが辛いから」

 呆れたような顔で見られた。

「ご、ごめん」

「あと、同級生に対していちいち謝らないで。何度も謝ってたら惨めになるだけよ?」

「ご、ごめ、、わかった、気をつける」

「そろそろ、昼休み終わりそうだし教室に戻るわよ」

「あ、うん」

 頭にノイズが入る。

「くっ」

「ど、どうしたのっ⁉︎」

「だ、大丈夫、、」

『死にたく、な、い。助け、て』

 ガラスが突き刺さり、血を流しながらエレナが僕に触れようとした映像が頭の中に走馬灯みたいに映った。

「これってエレナの未来、、、ご、ごめんっ」

 ヒビが入ったような音がしてエレナを押し倒し、伏せる。

「ーッ⁉︎」

 その瞬間、ガラスが雨の様に廊下に降り注ぐ。

 生徒たちの悲鳴が響き渡る。

「だいじょ、う、ぶ?」

「わ、私は少し切っただけ、あんたの方が重傷よっ」

「だい、じょ、、う、、」

 目の前が暗転し、エレナにのしかかった状態で意識を失う。


 爆音と悲鳴が響き渡る。

 周りは陥落したせいで土砂に埋もれている。

 割れたガラスや陶器の残骸が散らばっていて、皮膚を焦がすような熱さが襲い掛かる。

「姉さ、ん?、おかぁ、さん?、お父さん?」

 火が燃える音以外何も聞こえない。

 肉と脂を焦がしたような吐き気がしそなくらいの異臭が漂う。

 何かが目の前で光り、そこに向かうと

 床に姉さんがいつも付けていたペンダントが転がっていた。

「あ、あ、あ、あああああああああああああああッ‼︎」

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