ミーン族学

鮭さん

ミーン族学

 明日からゼミ合宿。大学生の夏休みというだけあって、毎日朝に寝て日が暮れる頃に起きる暮らしをしていた。しかし、明日は朝早く起きなければいけない。さっさと寝よう。宿に集まるのが9時だから8時ごろには起きなければ。目覚ましをセット。


 私たちのゼミは民俗学を研究している。民俗によって様々な特色がある。驚かされることばかりで、なかなか面白い。


 ぐーすかぴーすか


 ジリリリリ、ジリリリリ


 ポチッ・・・・


 ぐーすかぴーすか


 〜一時間経過〜


 はっ!!朝だ!!時計に目をやると、9時。大変だ。遅刻遅刻。


 私は飛び起き、歯磨きもせず家を飛び出した。駅に向かう。


 タッタッタッタッタッ


 ピッ


 改札を駆け抜け電車に乗る。


 ガタンゴトン、ガタンゴトン


 プシュー


 宿の最寄駅。郊外なだけあって、緑豊かである。鳥のさえずりがあちこちから聞こえ、癒される。道路は整備されておらず凸凹が酷い。気を抜くと転んでしまいそうだ。ええと、こっから、こういって、こういって。地図を頼りに、宿へ向かう。ええ、ここかあ。寂れたアパートみたいな施設だ。ほんとにこんなとこで合宿するのかな。でも、もうみんな来てるはず。時計は9時40分を指している。取り敢えず、入ってみよう。


 ごめんくださーい


 ガラガラ、ガラガラ


 ミーンミンミン、ミーンミンミン


 なぜだろう。建物の中に、セミがたくさん。あっちの壁でも、こっちの壁でも、ミーンミン。これは、セミたちの合宿、セミ合宿じゃないか。どうやら先生は間違ってセミ合宿の場所を僕に教えたらしい。でもこれからまた移動すんのはめんどくさいからここでいいや。


 それから1週間、私は一人でセミを観察し、ミーン族学を学んだ。セミの寿命は1週間、たくさんの別れを経験し、人生について考えさせられた。また、セミの鳴き真似が異常に上手くなり、飲み会などで役立った。


 完

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ミーン族学 鮭さん @sakesan

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