1月21日 雲は流れて

 天が呼ぶ、地が呼ぶ、銀河が私を呼んでいる!

 雪車町地蔵だ。


 忙しいさなかにふと空を見上げると、やんわりと雲が浮かんでいる。

 もこもこの羊のような雲。

 綿菓子のような雲。

 抱きしめたいような雲。


 ほんの数時間前には、そこにはなかった雲。


 雲は風に流されて、帆船のようにゆっくりと空を渡っていく。

 時々ちぎれて。

 小さくなって。

 雲。

 空を飛んでいく。


 そうしていつの間にか時間が経っていて、慌てて自分の仕事に戻る。

 流されているのは、自分も同じ。

 削れていくのは自分もおんなじ。

 でも、雲はふわふわだから。


 見ているだけで、気が安らぐ。

 ゆっくりやんわり、やろうと思える。

 雲。

 白い雲。


 たまには見上げるのも、悪くないよね?




 という、ポエットな気分で帰宅したが、家事に気を取られている間に心の余裕はなくなっていた。

 ううむ、悠々自適な雲のような心を持つのは、存外難しそうだ。



(雲だって雷雲とか黒雲とかあるだろ)

(つまり、なんです?)

(荒れもすさみもするってことさ)

(……珍しくまともなことを言いますね。それでは、アデュー!)

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