9月6日 おまえはガイアを学ばなければならない

 地球はウルトラマンの星……

 ……そうだ、私はセプテンバートゥエンティーフォー雪車町地蔵だ。

 意味不明な出だしだと読者諸氏は想うだろうが、それはいつものことだ。おやくそくを守れと、大技林にも書いてある。


 日本特撮しじょうにさん然と輝く夜空の星を、読者諸氏は知っているはずだ。

 知らないなら、目の前にある箱でぐぐれ。これが初等教育だ。


 そう、ウルトラマンの話を、今日はしなくてはならない。

 こんな風に言い始めると、読者諸氏は、私の頭がとうとう暑さでやられたのだと邪推するかもしれないが、じっさいにやられたのは私ではない、巨大企業の経営だ。


 https://www.youtube.com/watch?v=wh7fPmTAl30


 まずは黙って、この動画を見てほしい。

 安心してもらいたいが、いくらこの動画が再生されようが、私には1ジンバブエドルも入ってこないし、ついでに言えばあくしつなコンぴゅたーウイルス的なものに感染することもない。

 読者諸氏が陥るのは、熱中だ。

 詳しく話していこう。


 ウルトラマンガイア。

 ウルトラマンといえば、地球を守るためにどこからともなくやってくる宇宙人のはなしだが、このガイアとかいうやつは、地球原産の産地直送だ。

 地球生まれの超人といえば、少しはわかりやすいだろうか。

 この終わりゆく平成の初めから三年目のころ、このウルトラマンは地球を守っていた。根源的破滅招来体とかいう、宇宙の果てからやってくるドラッグライクな怪獣を倒していたのが、このガイアだ。

 だが、第一話の時点で守れなかったものがある。

 そう、先に言った企業の経営だ。


 簡単に言おう。

 一話の特撮技術や、超一線級の俳優陣にばかすか金をつぎ込んだ結果、経営が本気で傾いたのだ。

 その後のウルトラマンシリーズが常に予算不足になり、8年ほどブラックホールが吹き荒れていたぐらいヤバかった。


 こういう書き方をすると、私がウルトラマンに恨みを抱いたジャーナリストのようなクズ味のある宇宙ビーストだと非難するものもいるかもしれない。

 だが、本当に言いたいのは、こういうことだ。


 世界でトップの特撮企業、その経営が全滅するぐらいの熱意と金銭を投じられて作られた作品が──はたして面白くないなどということがあるだろうか?


 もちろん、それを判断するのは読者諸氏だ。

 ガイアを尊ぶのも、見限るのも、読者諸氏の裁量に違いない。

 私はただ、こう言うだけである。

 見ろ。

 そして、光を掴め。


 この星は、ウルトラマンの星なのだから。


 以上だ。



(なんでこんな口調なの?)

(ためしに消去してみたんだ……語彙を……そうしたら……)

(未視聴勢が困惑するネタやめろ)

(とにかく一話だけ! 開始15分だけでもいいから見てください! それでは、アデュー!)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る