昨日のいつの日






 朝、目を覚ます。

 眠気に嫌気を差しながら、ベッドから降りる。やけに今日は目がしょぼついて、体がだるい。まあ、昨日一時前まで小説を読んでいたんだからしょうがねえか。

 いつもの朝飯を食い、スマホをチェック。歯磨き着替え排便。そして出かける。特に暑くもなく寒くもなく、普通の天気と気温だ。底が削られて、ボロボロになっている靴が、やはり気になる。買い換えないとな。足が曲がっちまう。

 学校に着いたら、教室には誰もいない。いつもは大抵二番目か三番目だ。僕は一位をゲットしたことがうれしい。一人になれるからだ。この学校で、周りの中から人が消えることの、数少ない時間帯だ。僕は自分の机に小躍りしながらカバンを置き、思いっきり「キイェイイイイイイイ!」と奇声を発する。誰にも迷惑がかからない。最適なストレス発散法だ。あ、隣のクラスに聞こえてるやもしれないが。

 授業は真面目に受ける。美術が妙に集中できる。英語はSVOCを聞き、国語はこないだのテストの解説。数学はわけわからん関数をやる。そして給食。肉の上に乗った玉ねきやピーマンがクソ不味そうなので、食感に戻し、純粋な肉を頬張る。うん、うまい。

 昼休みは図書室に行き、三年間で初めてここで本を借りた。星野源さんの「いのちの車窓から」と青羽悠さんの「星に願いを、そして手を」を手にし、思わず笑みがこぼれる。この図書室の小説には手を伸ばす人が全然いないから、普通の図書館で二、三年待つ本を一瞬で手に入れられる。しかも綺麗。潔癖症の僕でも、ここのならば大丈夫だ。

 五時間目が眠気のピークである。そこに理科をぶちこまれた。いつもならウトウトするのだが、今日は目を覚醒させ、耐えきった。

六時間目は身体測定で、他の人の縮んだという声が耳に入りながら、僕は一センチと五ミリ高くなった。

 そして帰る。僕は五時から塾があるので

いつもは友達と帰るのだがそれを断念し、即行で帰宅をする。ぼっちなところを見られたくなくてそそくさと帰ったわけじゃないぞ。

 下校時より前から雨が降りだし、塾はカッパを着て自転車を漕いだ。このカッパは安物だ。風邪にあおられて、フードが持ち上がってしまい、僕の頭に水しぶきが跳ねる。しょうがないので右手で抑さえながら漕ぐ。そのうちめんどくさくなって、フードをそのまんまに放っておく。塾では学校でやった関数をやった。問題を答え合わせした後、先生が別の生徒を教えているので暇になり、背を伸ばしたままボーッとしていた。先生に「おーい」と肩を叩かれて、ハッとした。僕はいつのまにか眠りに落ちていたようだ。口を半開きにしたバカ顔をしていたのだろう。前にいた女子生徒に笑われた。

 雨の猛攻を受けながらなんとか帰宅。家族揃っての夕食をほお張る。風呂着替え排便。そして勉強だ。十時から、YOUTUBEゲーム実況の生放送を観る。非常に楽しい。おかげで勉強に手が付けられなくなった。良い子がもうオネンネしなければいけない時間に、僕は習慣にしている小説を書くために、パソコンを開く。キーボードを叩くスピードが速まり、前までの二倍ぐらいで文字を打ち込めた。その情景が妙に滑稽で、僕は自分の指をまじまじと眺めた。

 電気を消し、寝床に入る。ただ、眠りにはつけない。塾の昼寝のツケが回ってきた。しょうがないので、借りてきた「星に願いを」を読む。三章までいき、一旦区切りをつけて目を閉じた。だがそれでも眠気がつかず、僕は何度も寝返りを打ち、変な妄想に一人でツボった。


 いつのまにか、今日になっていた。遅い飯を食べ、小説の続きを読む。少したってパソコンを開いて、この文を書いている。

 本当になんでもない日常だと思う。

 そのありふれた日常を背に、僕はパソコンの原稿用紙のアプリを開く。キーボードに手をやり、力を込めて書き出す。

 朝、目を覚ます。





:現在点からの追記。

 

 実はこれ、去年の秋ぐらいに書いたやつです。だけとまだ中学生だったから、今の生活とはかなりかけ離れているなあと感じた。

 個人的にこの話を気に入っている。長く書けたし、何より文章がスラスラ入ってきた。ちなみに、本文中に出てきた、エッセイ「いのちの車窓から」のある一個の回を真似して書いたものである。

 あと、俺は潔癖症じゃないです(笑)。ボロくて汚ならしいのはやだけど、エレベーターのボタンを普通に触れます。

 





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