アホなだけ、好きなことを。

蓮見 悠都

第一章 断絶ホルミウム

怪しい歯医者

 中1の頃から歯に矯正装置をくっ付けている。歯並びがとても悪くそれが原因で昔からずっと口内炎に苦しんできた末の投資だった。今ではとてもきれいになり口内炎の心配もそれほどなくなっていたが、装置をつけていた当時、その装置とほっぺたの内の皮膚と擦れ合って口内炎が発症したのは本末転倒だったのかもしれないが、とにかく今は楽だ。

 で、1ヶ月に1度調整ということで地元の歯医者に通っていたのだが、そこが実に濃いところだった。団地の中にあるものなので基本は高齢者向け。そのためか、最新の器具は揃っていない。男1女2の三人体勢の中繰り出される銀のスティック(名前わかんないけど、口に入れるやつ)でお掃除したあとは口の中がカラッカラのパッサパサ。鉄の錆びた感触が口に残るというお墨付きである。

 あと、なぜか知らんが経営者の滝藤賢一と吉田照美を足して2で割ったような男性歯科衛生士がこのところ勉強について色々話をしてくる。英語は構文が大事だの、高1のうちに過去問をやった方がいいだの。そのことに関して特に不満はないが、気になるのはコミュ障である自分に積極的にアドバイスをしてくるのは、過去に何があったのかと訊きたくなる。

 あと1年ぐらいの付き合いだが、大学受かったときに挨拶ぐらいしようかなとも考えている。

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