第17話 再び

 * * *


「来たのね」


 白く続く空間。


 近い遠くで、女性の声がする。


 柔らかくて、温かな声。


 この感覚は、知っている。

 でも、いつのことかも、誰なのかも、わからない。


 それに、なんとなく嫌な感じも……そんな訳ない。


「もっと進んで」


 もう一度、その言葉が白い世界の中で響いた。


 女性のいうとおりだと思う。


 それとは反対側から、何かが聞こえた気がしたけれど……いや、それは後でいい。


「さぁ、惑わされないで」


 僕の足が、それに答えるように、一歩前へと進んでいく。



 その時、足がカチリといった。


 小さな音だったが、静かな世界ではっきりと耳まで届いた。


 その瞬間、ぐらりと体が傾いて、息が吸えなくなった。




 さっきまで立っていたはずの地面は消え、僕はひたすら白い空間をもがきながら落下していった……



 * * *

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