第2話 目を覚ます
目を覚ます。
「夢……?」
朝だと思ったが、まだ真っ暗だった。
おまけに眠い。
僕はタオルケットを手繰り寄せると、また目を瞑った。
僕は、ほとんど夜中に目を覚ますことがない。
朝まで夢の中をフワフワ漂うのが好きで、真面目な話、鶏が百羽鳴いても起きない自信がある。もちろん例外もないわけでもないが。
例えば、叔父さんが泊まりに来ている日。
叔父さんっていうのは、母さんのお兄さんだと聞いた。
母さんのことはよく知らないし、叔父さんも父さんも、そのことには触れない。
とにかく叔父さんがどうってことはないけれど、いつもいない人が同じ屋根の下にいるのはなんとなく落ち着かないものだ。
そんな日は、これでもか、というほど目が覚めてしまう。
そして今、まさにその状況なのだ。
昨日叔父さんが、いつも通り突然泊まりに来て、別の部屋で寝ている。
どこか遠くで、さーっと風が吹く音が聞こえた。
ずっと昔は、そんな音が怖くて、よく父さんのところまで逃げていったっけ。
そうしたら父さんは僕を布団に入れて、楽しい話をしてくれる。
その声はふわりと僕を包み、そよ風のように僕を夢の中へと連れていってしまうのだった。
……考えごとをしていたら、目が冴えてきたな。
今、何時だろう?
半分寝ぼけている頭に、ふと、そんな疑問が浮かんできた。
時計を見たい。
まず、電気をつけなきゃ。
僕は目を瞑ったまま、暗闇の中でベッドの横にある電気のスイッチを探すため、蛇のようにクネクネ手を動かした。
だが、電気のスイッチは見つけられない。
おかげで僕は、重いまぶたをあげなければならなかった。
体を動かすと、妙にベッドが硬い気がしたが、ぼんやりしている僕の頭は気にしない。
電気のスイッチは意外と近くにあった。
これでやっと時計が見れる。
スイッチを押すと一気に部屋の中が、白い光に飲み込まれた。
目を瞬かせ、何とか光になれさせると、その時になってやっと僕は気がついた。
ここは、僕の部屋じゃない、と。
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