3章 「ミズガルズ・接触」編

閑話 嗤うモノ達:1「復讐を歩むのモノ達」

【前半で登場する者達はここで退場し別の世界へと行ってしまいました。

登場したとしても閑話でとなります。


この者達のお話は別の物語で語られる事になります。

本来は、この者達の話を先に考えていたのですが……

設定がダークすぎてエピローグのみ書いて保留となっております。

そのうち基本設定のみUPするかも知れませんが……。

現在の物語が完結? する目処がつきましたら書きたいと思います。】


    ◇    ◇    ◇    ◇


 仄暗い部屋? 中には数名の男女だろうか…… 愉しげな話し声が響いていた。

虚空には何処かの国か?、居城の寝室が映されていた。

其処には一組の男女が睦言を交わしているように見えた。


ふと視線を逸らすと、天蓋付きの豪奢なベットの傍らに一人の女性がいた。

フードの付いた貫頭衣かんとういを着ていたが、今はその顔を晒している。

ベッドの上で絡み合う二人、それを冷ややかに眺めていた。


 その映像を観て妖艶さを漂わせる銀髪の美女が呟く……。

『あらあら、またやってるわねぇ。 本当にアレが好きなのねぇ 』


「あの馬鹿は此方の思惑通りに踊ってくれましたから、これ位のご褒美は宜しいのでは? 」


『うふふっ・・・別に良いのよ、好きにしてもねぇ。

どうせ泡沫の夢、今のうちに愉しめばよいわよ 』


「それにしても、あの者らも踊らされている事にも気付かぬとは…… 

哀れですね 」


「そんなの、あったりまえじゃないの! 

所詮は頭の悪いメス豚だったってだけでしょ。

 おやおや? オス豚もいましたね~! 」


「ところで、アンク・・・は如何されるのですか? 」


『あの娘? 最期まで見届けたいんですって。

元々連れて行く気はなかったのよ、だからぁ……ここに居ないのよぉ 』


「そうですよ。 元々が餌でしょ! だから此処に居ないのですから 」


『はぁ~この世界への復讐と実験も済んだ事だしぃ、そろそろお暇しましょうかしらねぇ 』


「復讐と言う割にはお優しい、あの程度で済まされるとは 」


『うふふっ・・・そうねぇ。 

この世界のは「転移門」を放置した事だけ。 些細な罪よぉ。

だ・か・ら・ちょっとで赦してあげたのよぉ~ 』


「主様? ならば何故「転移門」を一つだけ残されたのですか? 

全て壊してしまえば良かったのでは 」


「そんなの決まっているじゃない! 

あそこに居るバカな勇者・・・・・の餌だからでしょ? 」


「そうです。 どちらにしろ、愚かな勇者が地球へ行き何をしようとも、我々の復讐になんら影響は無いのですから、問題などありません 」


『うふふっ・・・そうよぉ。

最終的に地球へも罰を与えるのだけれど…… 他の誰かが征服していようと関係ないのよぉ。 

それ以上の恐怖をプレゼントするのだから。 はぁ~楽しみだわぁ 』


「ところで、試験データなどの採取は完了しているのですか? 」


「は~い、完了しておりますよぉ。

この世界での最上位種である竜神種の強さが、あの程度でだったのは予想外でしたねぇ。

あちらの世界の上位種である三星鬼トライデーモンの方が余程強いですよねぇ。


 それにぃ、蠱毒祭こどくさいの効果も十分確認できましたしぃ。

あの魔法陣が人間やエルフにも効果があるのは予想外でしたねぇ。

それにしても、良いデーターが採れましたよぉ~ 」


蠱毒祭こどくさいとは、鬼達を閉鎖空間へ召喚し互いに共食いさせ、最後に残った者が捕食した者全ての能力を手にする事が出来る鬼たちの祭事。

大きすぎる力は自身を崩壊させてしまうが、崩壊を免れ力を手に入れた鬼は上位種へ生まれ変わる。


『この世界の結末を観られないのは残念だけど、メインディッシュを待たせると拗ねちゃうからねぇ。

もう戻ってくる事もないし……。

うふふっ・・・ 皆さん次なる復讐の地「アルテア」へ逝きましょうか 』


「「「「「はい、御供致します 」」」」」


『さあぁ・・・逝きましょう。 次元跳躍ディメンション・リープ 』


    ◇    ◇    ◇    ◇


 アロイス帝国の王城の一室に二人の女性に男性が一人。

天蓋付きの豪奢なベット上で一組の男女が睦言を交わしている。


その傍らに一人の女性がいた。

フードの付いた貫頭衣かんとういを着ていたが今はその顔を晒し、ベッドの上で絡み合う二人を冷ややかに眺めていた。


 女性の一人はアロイス帝国皇帝「エリザヴェート・アロイス・ラシウス」もう一人は「アンク」と言う。

男はアロイス帝国唯一の勇者である「キリム・ゲヘナ・ロイスター」であった。


「ふぁ~、も、もう我慢できぬぅ…… ご、後生じゃ、 早くして・・おくれぇ 」 

エリザヴェートはもう待てないと、キリムへを急かす。


「アンクよ! アレは準備できているのか? 」


「こちらに…… 」

そう言って一本のガラス瓶を懐より取り出し、キリムへと差し出した。

と同時に部屋に全体に魔方陣が展開される。


「エリザよぉ~ これが欲しいのかぁ? 」

キリムはエリザヴェートの愛称であるエリザと呼びながら、ガラス瓶を振って見せ付けた。

中には仄かに青く輝く液体が揺れている。


「そっ、そうよ~それよぉ、ご、ご褒美をぉ…… 早くちょぉだいぃ~ 」

エリザヴェートはベッドの上で痴態を晒しガラス瓶の中身を強請った。

そんな二人をアンクは冷徹な眼差しで観ている。 だが、決してその瞳の奥にある炎は悟らせない。


「まだ駄目だ! お預けだぁ~ 」


「いやぁ! そんな事言わないでぇ~ 」 

エリザは我慢出来ず、自身の下腹部へと指を伸ばす。

蜜を湛えた蜜壷へと指をれ弄ぶ……

くちゅくちゅと淫靡な音を立てながら、喘ぎを噛み殺す

その美しく、薄紅色をした脚は脚を先を絡め開く事を拒否していた。

開いてしまうと、我慢が出来なくなるから……


「ぐ、あぁふぅ…… 」

襲い来る快感に脚の爪先はピンと伸び、頑なに開く事を拒んでいた


「まぁだだぁ! アレを確認してからだ! 」


「くふぅ…… も、もおぉ~焦らさないでぇ~ 」

淫靡な音を奏で続ける指先、徐々にその音が粘り気のある、更に淫靡な音色へと昇華して行く。

エリザは堪らずに喘ぎをあげると、頑なに閉じられていた脚が開かれた!

大きく股を開き、溢れ出る蜜を指先で弄び、キリムへと見せ付ける!

早く、頂戴と! 淫靡に、妖艶に!


キリムはそんなエリザを構う事無く詠唱をする。

遠隔視リモートビューイング 」

すると虚空に映像が浮かび上がった。


    ◇    ◇    ◇    ◇


 石で出来た部屋であろうか、その床は夥しい血で染め上げられていた。


 其処には両の手足を鉄杭で荷台に打ち付けられた者がいた。

その傷口から鮮血が滴り落ち床を染め上げていたのだ。

その出血量は致死量を越えていると思える……

だが、その者はそれでも生きていた。


その者は少女の姿をしていた。

口元が苦悶に歪み、血が床へと滴り落ちる。


『ぐふぅ…… 言う事を聞いたのだ! 母は無事なのだろうな!? 

嘘であったなら、ぐっ…… 貴様らを、許さぬぞぉ~!! 』


「ははっ! まだ、判らぬのか? 残念だったなぁ。 そう言えば判るか? 」

男達が嘲笑う!


『なっ! 嘘……謀ったのか!? 助けると言っただろう!

言葉を違えたのか? 』

磔の少女は叫ぶ!


「馬鹿なやつめ、無駄な足掻きはやめろ! 」 

男達は嗤いながら少女を見下ろす。


「おい、こいつにはまだ役目が残ってる。

拘束呪いましめをもっと強めろ! 死なぬ程度になっ! 」

一人の男が指示を出す。


「「「はっ! 」」」

返事をした数人の男が、呪術符・・・を取り出すと拘束術いましめを行使する。

男達の下卑た嗤いと、怨嗟に身を焼かれた少女の言葉無き叫びが木霊する。


その地獄の中にあって、生きる事を諦めぬ磔の少女は心の中で叫ぶ!

『決して、赦さぬ…… この身が滅びようと、決して諦めぬ!

お前等を、お前らの国を焼き尽くすまでは死なぬぞ~! 』

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