第23話 燻製を作ろう!
初めて異世界で釣りをしてから早二ヶ月、基本的にキャッチ&リリースを心掛けているのだが、キープせざる得ない状況も時にはある。
新たな魚種を釣り上げた時、や著しく弱ってしまった場合だ。
ランディングまでの遣り取りで、疲弊し弱ってしまった魚はリリースしても生きてはいけないだろう。
そうなると、持ち帰り食べてあげる事で供養をするのがフィッシャーマンだと思う。
心の師、三◇◇平もそう言っている筈だ!。
と言う事で、久しぶりに
燻製は時折無性に食べたくなる、スモークチーズもそうだが魚の燻製も美味しいのである。
折角釣った魚が結構な量になっているが、時空庫に仕舞ってあるので鮮度は落ちはしない。
本当に便利である、時間が止まった状態での保管なので仕舞った直前の状態をキープしているのだから。
ただ、疑問に思った事がある。
物語の中に出てくる同様なものは、無限収納、インベントリ、アイテムボックス等々、何でも無限に入れられるけど、生き物は入れられないという物だ。
「生き物」は保管できない。これが引っ掛かっていた。
何故なら、釣ったばかりの魚を考えもせずに収納していたからだ。
結果は収納できている。
何故? その状態が、どういう状況なのか気になったのでリリスに聞いてみた。
『マスター、生き物でも収納は可能なのです。
ただ……生命活動が停止します 』
と、何でも無い事の様に言われてしまった。
「生命活動の停止? じゃあ収納と同時に仮死状態になるの? 」
との疑問が湧いた。
『違うのです。 生命活動の
すなわち御臨終なのです!
生き物を収納して、直ぐに取り出しても生命活動は再開しないのです 』
「と言う事は、止めを刺さずに収納したら一撃死だね? 」
と思った。
『……そう……なのですね』
と、リリスの目が泳いでいた。
「これは……究極の攻撃手段かもしれない! 」
危険な考えは彼方へ捨て去り、釣った魚を一尾料理しようと思いました。
力持ちのリリスにも手伝って貰います。
『我は「私達は食べる人!」』
と叫びながら逃走しました!
取り出したのは、初めの頃に釣り上げた、シルバー ブレード トラウトですが、メーターオーバーだけあり三枚に下ろすのも手間が掛かります。
だいたい、一般家庭にある
と言う事で、業務用の特大
と言っても、天然の
ささ~っと、三枚に下ろしていきます。
凄く簡単に言っていますが、このサイズを
「それにしても脂が乗ってるね! 」
非常に美味しそうです。
サーモンの様なピンクでは無く、赤に近いピンク色なんですよ!
鮮やかな
甲殻類を主食にしたトラウト類の身は、こんな色をしていて噛締めると身が甘いんです。
と言う事は、あの河にはエビや蟹が居るのかも知れませんね!
今度仕掛けを手配しましょう。
シルバー ブレード トラウト、これは刺身でもいけそうですね。
寄生虫の心配があって一度凍らせてみようかと思ったのですが、鑑定で判るかな?
と思ってやってみました。
寄生虫も居なく、「生食可」と表示されました。
早速、柵取りしましょう。
半身の腹骨を
皮を引いて柵取りが出来ましたので、後は刺し身に切るだけなのですが、時空庫へ仕舞っておきます。
残った半身の腹骨も
身は綺麗に洗って、血やぬめりを良く取り除く事も忘れずに。
良く空気を抜いて、身が完全に
冷蔵庫で十二時間ほど寝かせます。
一緒に
翌日は塩抜きです。
塩抜きが済んだら、次は風乾燥ですが、外気温の高い今の時期は外での風乾燥は避けます。
冷蔵庫で三時間ほど表面の水気を取れば良いのです。
燻製は水気があるとタールが付着するなど、上手く
やっと燻製を開始します。
スモークウッドに
あまり温度を上げないように注意しながら二時間ほど
一時間ほどしたらシルバー ブレード トラウトの表面を確認します。
味が落ちますので、水滴が付着していたら拭き取って下さいね。
燻製が完了したら、冷蔵庫で数時間から一日寝かせます。
美味しさを求めると、時間が必要な事もあります。
さて、今日は美味しく出来上がったシルバー ブレード トラウトの燻製と刺身をいただきたい所ですが、ここ迄で三日掛かってます。
水曜日から仕込みましたので、丁度今夜からお休みなんですね~ぇ!
出来上がった燻製を、冷蔵庫から取り出して時空庫へ移動しました。
見つからない様に台所を
明日の夜は湖畔で月見酒が出来ますね~!
お天気である事を祈って寝るとしましょう。
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